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新潟県津南町~日本一の河岸段丘を彩る日本一短い花火大会~

今回は日本の魅力を再発見というテーマで、「新潟県津南町」の心温まる町づくりについてレポートさせていただきます。
新潟県津南町は人口8000人ほどの小さな町。日本屈指の豪雪地帯としても知られています。そんな津南町は豊富な観光資源と人との繋がりを大切にしています。津南を訪れた人は皆、この町が大好きになること間違いなし。かくいう私は以前、津南町で暮らしていたことがあります。
そこで、この町で開催される花火大会に実際に参加してみて感じた、町づくりに向けた素敵すぎる取り組みとその魅力について紹介させていただきます。 


①河岸段丘の夜空を彩る花火大会

津南町を流れる中津川は、日本最大の7段の河岸段丘を持つことで知られています。河岸段丘とは、川の両岸が階段のようになる地形で、長年の地形の隆起と堆積と侵食が繰り返されることで作られます。つまり「自然の力で川の両岸が階段のようになるのがすごい!」ということになります。
 
この日本一の階段を利用して、津南町河岸段丘花火大会が毎年10月に開催されます。段丘面に打ち上げ花火が設置され、参加者は見晴らし台から観覧するのですが…。
 
注目してほしいのは、その花火大会の時間の短さ。打ち上げ時間はわずか33秒。日本一短い花火大会、とも言われています。日本最大の河岸段丘で、日本最短の花火大会が行われる。なんとも風情があります。
 
私は以前この花火大会に参加したことがあります。観覧場所は市街地から離れた小高い台地の上にあるため、車で向かいます。(つまりこの時点で花火大会なのにノンアルコール確定です。笑)
 
会場に到着。お昼過ぎから特設ステージが設置され、地方ラジオ局のパーソナリティさんの司会進行のもと、テンポ良くプログラムが始まります。
太鼓や踊りのパフォーマンス。よさこい、トークショーと続いていきます。観客はほとんとが家族、親戚、近所の人、あとは学校の同級生たち。大変アットホームな雰囲気が漂います。
 
出店の屋台もちらほらと。焼きそばやフランクフルトなど腹ごしらえもしながら、およそ2時間。
花火の打ち上げの時を、今か今かと待ち続けるのです。
 
一向に打ち上がらない花火。しかし、花火を待つこの間、会場の人たちははや花火のことなんか忘れて、楽しそうにしていたのを覚えています。
 

②打ち上げ開始

いよいよ定刻となり…「それでは大変お待たせいたしました!!」
のアナウンスと同時に、河岸段丘を彩る大花火。
 
…ドーーーン!!!
 
1段1段の段丘面から打ち上がる、1発1発の花火のありがたみは格別です。
枝豆を食べている暇などはありません。なにせ33秒ですから。
 
大自然を舞台にした打ち上げですが、お世辞にも決して迫力満点という感じではありません。しかし、夜空にはかなく消える光の残像を見ながら思いました。
 
―「ああ、そうか。打ちあがるまでの時間を全力で楽しむんだ。」
 
これは究極の花より団子だったのです。
人口8000人ほどの小さな町では、人との繋がりを何よりも大切にしていました。人が集まることのできる機会を作る。そこに人が集まり、輪ができる。子どもたちの発表の場となり、みんなで成長を見守っている。
 

③町全体が1つの大きな家族

津南町の人口ピラミッドの形は、社会科の教科書に載るような形をしています。高齢人口と幼少人口が膨らみ、生産年齢人口はひょうたんのようにくびれています。この町は高齢者の方たちが、こどもたちを本当に大切にしています。先の大花火大会でも、こどもたちの太鼓や踊りのパフォーマンスに目を細めて見守る大人たちが常にいました。
 
―「この町のこどもは、この町みんなの宝物」
 
私がこの町で暮らしていたときに、常に感じていたことです。小・中学校で行われる小さな運動会1つとっても、大人たちみんなで見守って応援する。小さい頃からずっと見てもらっているので、本当に素直でまっすぐな子どもたちが育ちます。
 
津南町は1年の大半が雪に閉ざされます。雪かきをしても、翌朝には側溝に捨てたはずの雪の倍以上の雪が積もっている。そんな厳しい冬です。
しかし、その雪の下でじっと春を待ち、甘みをたくわえる「雪下にんじん」のように、春には春の、夏には夏の魅力を最高に楽しむ準備がこの町にはあります。
 
このような発想が根底にあるのでしょうか。津南町には、1年を通して楽しめる場所がたくさんあります。森と大地の芸術祭は、町に広がる大自然をそのままキャンパスにするという発想で開催されます。
沖の原のひまわり畑は、約50万本のひまわりが一面に咲き誇り、ひまわり迷路は迫力満点。冬はグリーンピア津南でスキーももちろんいいですが、地元の誰かの家に集まって宴会が。民家からはよく笑い声が聞こえていました。

津南町は、例えるならばひとつの大きな家族のようなもので、繋がりをとても大切にしていました。私はこの町で新婚生活を始め、子どもも授かり、地域の人たちに大切にしてもらいながら暮らすことができました。
この町は私の第二の故郷だと思っています。
 
33秒のために、できる限りのことを全力で準備しておもてなしをする。
一度津南を訪れた人は、その町の魅力に気がつくはずです。「つなっぺ」があなたを待っています。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

つなっぺ


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