桜が散り、リンドウが咲いた日
「三年間しか応援出来ないって」と誘われたことを覚えている。何て悲しげで、刹那的で、魅力的な言葉だろうか。
「殺し文句」を絵に描いて額に飾ったら金賞を貰えるような言葉だ。やめてくれ、その文句は俺に効く。
そんな風に旧知の友人に誘われるまま、昨年9月末の池袋Space emoに行った。それが「7限目のフルール」との出会いだった。
その日はセカンドシングル「君はフルール」のリリースイベント日であり、その名前は長野の友人のツイートを通してうっすら聞いていた。
「要はご当地アイドルね」と理解して、何も予習しないまま向かった。ファーストインプレッションは大事だ。それと、友人が勧める以上は「何か惹かれるモノがあるのだろう」と言う確信めいたものはあった。
また、リリイベと言ってもCDは売らず、特典券がその代わりだった気がする。整理番号を受け取り、ハコに入ると椅子があったので座る。
何も知らずに来たため、サイリウムも無ければグッズも何も無かった(今にして思えば悪いことをしたと思う)。
セトリは
青咲く
サンボマスターのカバー
君フル
青咲く だったと思う。(サンボ?と驚いたことを覚えている)。
正直に言うと、オリジナル曲は殊の外良かった。しっかり作られた硬派な楽曲だった。特に「君フル」の間奏で輪になる振り付け(円陣)はベリシュビのそれに似ていて、目の奥がじわっとなった。
※ちなみにナナフル6人Ver.の円陣は今よりかなり広がって踊っていたので、今よりさらにベリシュビに近かったのです。
それより何より気になったのは衣装だった。
あのエンジ色の1stコスチュームだ。上品な色合い、しっかりした生地、白いブラウスに入る白い刺繍。とても素敵で、それを見ただけで周囲が彼女らに掛ける熱量が伝わって来た。
信頼できるユニットだと感じた。
集合の撮影タイムもくれる優しさ。好き。
一部が終わると友人と感想を言い合い、食事をして、二部のためにSpace emo へ戻ると若い人に声を掛けられた。
彼ら(男女の二人連れだ)は大学のサークルか何かで、地方アイドルの研究だか調査をしていたらしく話を聞かれた。
サンドイッチマンのコントのように適当に答えても良かったのだけれど、気の毒なので年若い友人に回答をお任せした(回答は実を結んだのだろうか?)
二部は最前に行けて、同じようにライブを楽しんだ。まだ、ぎこちない。パフォーマンスも笑顔も探り探りな様子はあった。でも、汗びっしょりで「今できること」をやろうとしていた。
まだ何も無い彼女らにとって、練習した歌とダンスだけがステージ上でその身体を支える拠り所だったのだと思う。
特典会は数人と挨拶をした。スラッと背の高い勝見さんと話すと「そなりんポーズをしましょう!」と言われ、両手で作ったハートを割って両頬に当てるチャーミングな仕草を教えてもらった。懐っこい子だなと言うファーストインプレッションは当たったみたいだ。
佐久に帰る友人をバス停まで送りがてら、色々な話をした。またライブを観に行く気は既に満々だった。彼女らの印象がとても良かったからだ。
色々未熟なことは承知で、それでも今出来る100%を出そうと言う姿勢に気高さを感じた。期間限定ユニットならではの輝きがあった。それは見知った光だった。
この日記はこのあとに続く物語の一枚目。
真夏に散った桜の後に咲いたリンドウの話。
くるりと回った砂時計が落ち切るまでの話。
よろしければ、お付き合いください。
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