ヒルズシリーズ〜麻布台ヒルズ〜
総合デベロッパーの森ビルは港区を中心に大規模開発を行っています。六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズとヒルズエリアを広げ、港区の価値向上に寄与しています。
今回は昨年オープンしたばかりの麻布台ヒルズに焦点を当てていきます。
麻布台ヒルズは神谷町駅と六本木一丁目駅間にある一体のエリアで、約8.1haもの広大な土地を森ビルにより開発されました。
敷地は小規模な木造住宅やビルの密集、建物の老朽化など整備が必要な状況だったため、1989年に「街づくり協議会」が設立されました。以降、30年という長い年月をかけて、約300人の権利者の方々と議論を重ね、計画を進めていきました。2018年3月の再開発組合設立認可を経て、2019年8月に着工、2023年11月に開業しています。
麻布台ヒルズは約330mの「森JPタワー」、約240mの「麻布台ヒルズレジデンス A」、約270mの「麻布台ヒルズレジデンス B」の3つのタワー棟と低層棟「ガーデンプラザ A,B,D」があります。
住宅・オフィス・商業施設などが入った複合施設となっており、就業者数約20,000人、居住者数約3,500人、年間来街者数約3,000万人と六本木ヒルズに匹敵するスケール感です。
ここからは各棟の施設を見ていきます。
「森JPタワー」の建設地はかつて日本郵政グループ飯倉ビルがありました。高さ約330mは、大阪市阿倍野区のあべのハルカス(高さ300.0m)を抜いて日本で最も高い超高層ビルです。
B1F-4Fは商業施設、B1 - 7Fはブリティッシュ・スクール、5F-6Fは慶應義塾大学予防医療センター、7F-52Fはオフィス、53F-64Fは住宅になります。
ブリティッシュ・スクールはインターナショナル・スクールで、教育年次は3歳から18歳まであり、イギリス本国と同じカリキュラムで授業が行われます。
住宅はラグジュアリーリゾートを手掛けるアマンリゾーツが初めて手がけた住居です。最上階にあるペントハウス3戸のうち2戸は価格が200億円以上するといった報道も出ており、国内の分譲マンションの最高額とも言われています。
「麻布台ヒルズレジデンス A」は1F-2Fは商業施設、1F-13Fはホテル「ジャヌ東京」、14F-54Fは住宅になります。ジャヌ東京はアマンの新ブランドである「ジャヌ」のホテルになります。ラウンジ、プール、ジムといったウェルネス施設も多くあります。
「麻布台ヒルズレジデンス B」はB1F-2Fは商業施設、3F-5Fはオフィス、6F-64Fは住宅になります。
当初竣工予定は2023年春頃を予定していましたが、地下工事の設計変更やコンクリート部材の一部に不具合があったことから、竣工が2025年8月末になる見込みとなっています。
また、デザインは世界中から超一流が結集し、計画全体を練り上げています。3棟の超高層タワーの外観デザインは、アメリカのPelli Clarke & Partnerが担当しています。創設者であるシーザー・ペリ氏は、あべのハルカスを設計したことでも有名です。
低層部の建築とランドスケープは、イギリスのトーマス・ヘザウィック氏がデザインしました。ヘザウィック氏は、ロンドンオリンピックの聖火台などを手掛けてきたデザイナーです。「麻布台ヒルズ」は、ヘザウィック・スタジオが日本で初めて手掛けるプロジェクトとなります。
ヒルズシリーズで東京を世界都市にする森ビルの戦略はいかがでしたか。国際的に価値のあるエリアを創設するために、長い時間をかけ計画を進めていく他にはない手法です。
行ってみた感覚としては外国人がかなり多くいる印象で、インバウンド需要が多くありそうです。住宅も多くありますが、どんな人が住んでいるんでしょうね?気になるところです。