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チャンピオンの歴史
秋になるとスウェットが着たくなりますよね。
スウェットで特に人気なのが縮みにくいという特性があるチャンピオンのリバースウィーブです。
ここ数年はオーバーサイズが流行っているので、ダボッとした形状のリバースウィーブがとても高騰しています。(数万円とかしますよね、、)
「キング・オブ・スウェットシャツ」と称されるようにチャンピオンは、今では当たり前となったスウェットのディテールを多く開発しています。
今回はそんなチャンピオンの歴史を振り返っていきたいと思います。
1919年にチャンピオンは誕生します。
創業者サイモン・フェインブルームが、「ニッカーボッカー・ニッティング・カンパニー」を設立。アメリカニューヨーク州ロチェスターを拠点に構え、主にセーターの販売を手がけていました。
1920年にサイモンの没後、息子のエイブ&ウィリアム・フェインブルーム兄弟が「チャンピオン・ニッティング・ミルズ社」として社業を受け継ぎます。彼らはTシャツやソックス、スウェットシャツの原型であるウールの下着を、屋外労働者の防寒用として販売していました。これがやがて米軍アカデミーの訓練用ウェアに採用されます。
有名になったきっかけが1924年から始まった大学でのビジネスです。最初の顧客、ミシガン大学は当時高価だったアスレチックウェアを高品質かつ手頃な価格で販売しているチャンピオン社に目をつけ、スウェットシャツを採用しました。これが評判になり、コーチからコーチへ口コミで全米の大学に広がっていきます。
1930年にはTシャツやスウェットシャツにナンバーや大学名をプリントするレタリング加工を開発します。「体育の授業で生徒に貸し与えていたウェアを管理回収する」という大学側のニーズに応える事が目的でした。同時に、それまで下着として考えられていたTシャツがアウターとして着られるきっかけにもなります。
契機となったのが1934年。サム・フリードランドによって開発されたリバースウィーブの誕生です。
アメリカ人は乾燥機をよく使うのでスウェットを洗うと縮むという問題が良く起こっていました。
そこで、縦に織っていたコットンを横向きに使用する事で縮みを防いだという発明です。この発明は1938年に1回目の特許申請をしており、リバースウィーブの原型でもあります。
リバースウィーブの誕生後、様々な改良を試みます。1940年代には今ではあまり見られない、襟部分の伸縮補強用として丸首の前・後部分につけられたV字状のパーツ(通称ガゼット)が付いていました。ガゼットを付けることによって着脱がしやすくなるようです。今では手間がかかることから、一般的なスウェットでは丸首のものが多いです。
1952年にはリバースウィーブ2度目の特許を取得します。1回目の申請では縦縮みの防止だけでしたが、2回目の申請では横方向への縮み対策としてサイド部分へリブが両脇に施されました。
今もなおその製法を受け継ぎ、リバースウィーブは不朽の定番となっています。
リバースウィーブの他、様々な定番ディテールをチャンピオンは開発しています。
代表的なのがリバーシブルとパーカーです。リバーシブルは1939年。海軍からの依頼で、訓練用に表と裏の異なる「リバーシブルTシャツ」を開発しました。パーカーは1961年。アスリートの体温を下げないよう、ユニフォームの上に着るパーカーが出たようです。
こうしてチャンピオンの歴史を振り返っていくと、アスレチックウェアの成り立ちが分かってきますね。現在でも「キング・オブ・スウェットシャツ」として親しまれ、世界中の多くのファンに愛用されています。