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0円物件〜空き家の利活用〜
全国の空き家の数は住宅全体の13.8%にあたる900万戸となりました。人口減少や高齢化などが原因で増え続け、30年前のおよそ2倍となっています。
こういった事を背景に最近「0円物件」が増えてきています。
需要は徐々に増えていき、空き家をマッチングさせる「みんなの0円物件」といったサイトもあります。
0円物件の多くは築古、アクセスが悪いなど通常の不動産屋が取り扱わないものが多いです。空き家を放置していると固定資産税がかかってしまいますので、相続放棄も増えており、2023年には過去最多の28万件が受理されています。
そんな空き家の中でも、他人から見れば全然使える物件も多くあります。譲渡物件ではセカンドハウス、賃貸物件、民泊、店舗など多岐に渡り活用されています。
1つ目の事例は三重県鳥羽市の小さな旅館「旅館なおみ」です。三重県鳥羽市小浜町は過疎化が進む小さな港町です。
築100年ほどの空き家で、老朽化を理由に前の借主が退去した後、所有者が空き家のリフォームを手がけていた森大地氏に再生を託します。
近くに鳥羽水族館やイルカと触れ合えるレジャー施設などがあることから、森氏は空き家を旅館にして地域の活性化につなげることにしました。
この取り組みから空き家の新たな可能性が見出されています。
2つ目は北海道旭川のジューススタンド「COOZY JUICE STAND」です。
この建物は、空き家マッチングサイト「みんなの0円物件」の運営会社代表中村領氏から無償で譲り受けたものです。
物件取得にコストがかからなかった分、内装にこだわった明るくておしゃれな空間になっています。
普通に不用品を廃棄し建物を解体後に、土地を売却した場合の見積もりは大幅な赤字のため、物件を譲渡した側もメリットになります。
こういったうまく行っている事例がある反面、0円物件ならではの課題もあります。
例えば北軽井沢の0円物件を賃貸とした事例です。別荘地ということで需要はありそうですが、物件まで未舗装の私道を通るなどアクセスが相当悪いこと、避暑地ということで夏場しか需要がないといったことで賃貸活用が難しいのが現状です。
今後の空き家問題を解決するためには0円物件の波及がキーポイントになりそうです。しかし、0円物件はアクセスが悪いことが多いので、居住用というよりは民泊や商い利用の方が相性が良いのかもしれません。空き家活用に特化したエリアをつくって、地域創生をしていくなんてのも面白そうです。