新しいかたちの公園〜渋谷区北谷公園〜
「Park-PFI」という制度についてご存知でしょうか?
Park-PFIとは公募設置管理制度のことで、簡単に説明しますと公園に施設を設置して、運営する民間事業者を公募により選定する制度です。
この制度により、公園に民間の投資を誘導することで、管理者の負担を軽減しつつ公園の質や利便性を向上させることが期待できます。
今回は、渋谷区内の公園で初めてPark-PFI制度を活用した「北谷公園」について紹介していきます。
渋谷区役所の道路向かいの裏にある北谷公園は、エリアの課題であった道路上の違法駐輪を解決するため、公園の半分が駐輪場となった寂しい雰囲気の公園でした。
こうした現状を受け、渋谷区は地域活性化の拠点として、より多くの人々に有効に利活用される公園にするため、渋谷区内の公園で初めてPark-PFI制度を活用して北谷公園を整備し、2021年4月に開園させました。
渋谷区の公募により、東急・日建設計を含む企業コンソーシアムが整備事業者に選定され、公園の整備を実施していきました。新たに設置された2階建ての建物内には「BLUE BOTTLE COFFEE」が初の公園内カフェとして出店したり、建物横にはワークショップ など幅広いイベントを実施できる屋根付き広場ができたりと賑わいのある公園へと変貌しました。
指定管理者には東急・CRAZY AD・日建設計から構成される「しぶきたパートナーズ」が選定され、植栽や公園施設の維持管理を行っています。また、管理業務に加えて公園の情報発信、イベント企画・誘致など公共空間運営も含めたトータルマネジメントを実施しています。各企業の役割分担は以下のようになっています。
・東急:全体統括および公園施設の維持管理
・CRAZY AD:公園施設の広場部分の運営
・日建設計:全体設計と地域連携
また、公園ロゴデザインは、近隣に所在する「専門学校 桑沢デザイン研究所」の学生を対象としたコンペで最優秀賞に選出された作品を採用しています。こういった地域プレイヤーと連携した公園づくりは今後重要になってきそうですね。
その他、一般社団法人「渋谷駅前エリアマネジメント」が展開するフリーWi-Fi「SHIBUYA Wi-Fi」を整備したり、物販・飲食ブースの出店や各種イベントが実施できるよう公園の広場スペースの貸出しを実施しています。主にステップエリア・ステージエリアではステージを用いたイベントが実施され、大屋根エリア・ランウェイエリアではポップアップやキッチンカーの出店がされています。
こういった取り組みが評価され、2022年度にグッドデザイン賞を受賞しています。審査では、レベル差を利用し複数の広場空間を設えた点や、地域のカルチャーに寄り添った公園運営をすることで地域価値の向上に寄与した点などが評価されています。
渋谷区内初のPark-PFI事例「北谷公園」はいかがでしたか。
渋谷のような高密都市における街区公園のアップデートにおいて、北谷公園は一つの答えなのかもしれませんね。民間が入ったことにより、渋谷ならではの先端的な取り組みや地域との連携が活発化されたと思います。
皆様も一度公園に寄ってみて、どのように公園が盛り上がっているか見てみてください!