
雇用規制緩和は財界の悲願/優秀な人間だけ集めればいいと思っている頭の悪さ
自民党の総裁選で、小泉進次郎と河野太郎が解雇規制の緩和を口にした。いかにもこの二人が言いそうなことだ。財界は90年代から正規雇用の削減と非正規の拡大を進めてきた。解雇規制の緩和は、正規雇用を最小限にしたい財界の悲願である。
少し前、ユニクロの柳井会長が口にしていたように、企業は優秀な人間だけを雇用したい。普通の人間でも不足で、それ以下は要らないのである。生産性が低い、給料分しか働かない社員は辞めさせたいのだ。
社会の公器が、そんな発想に立つこと自体が許せないが。何より、その浅薄な人間観と社会観に驚く。優秀な人間だけで、社会が回っていると思っているのだろうか。
働き蜂の中でも、真面目に働いているのは三分の一で、残りは働いてるふりをしてだけだそうだ。それならと真面目組だけ集めても、三分の二には働かないという。
組織には多様な発想が必要で、全体としての生産性を上げるのは経営側の責任だ。そもそも学歴エリートは共感性に乏しく、英語が堪能なグローバルエリートは自国に対する知識に欠ける場合が多い。
加えて、解雇規制の緩和で成長産業や中小企業への移動を促すなんて、誰が考えても夢物語だ。そこまで頭が悪いとは。