川西玲子

川西玲子

最近の記事

教育の完全デジタル化に邁進する文科省の愚/フィンランドは方針転換

 教育先進国フィンランドが、脱デジタル化に踏み出したという。理由は集中力が下がり、PISAの順位が急落していることにあるそうだ。生徒は学習中、頻繁にSNSを見るという。  それはそうだろう。大人だってSNS漬けなのだ。そこで、紙のノートに手で書くという方向に転換している。隣国のスウェーデンも同様で、紙の教科書を発行するために予算を確保したという。  一方、文科省は2027年に完全デジタル化を成し遂げようと、紙の追放に躍起になっている。すでに現場では様々な問題が起きていて、

    • 猛暑で大混雑の中、八幡宮の例大祭を強行/渋谷は今日もカオス

      渋谷に映画を観にきた。人は多いし猛暑だし。救急車が度々通る。 その中で八幡宮の例大祭を強行中。様々な店舗の音声CMが流れる中で、宮司が祝詞を上げ、もう何が何だかわからないカオス状態。 伊藤温泉焼きそばが出張してきて屋台を出し、「ジャパン・フェイマス・ソウルフード!」と叫んでいるし。もちろん買って食べたが。 しかし一番驚いたのは、図々しく丸川珠代が登場したこと。場違い感が漂う中、その空気を察知したらしき半被姿の男性が、一人で珠代コール。あほらし。

      • 雇用規制緩和は財界の悲願/優秀な人間だけ集めればいいと思っている頭の悪さ

         自民党の総裁選で、小泉進次郎と河野太郎が解雇規制の緩和を口にした。いかにもこの二人が言いそうなことだ。財界は90年代から正規雇用の削減と非正規の拡大を進めてきた。解雇規制の緩和は、正規雇用を最小限にしたい財界の悲願である。  少し前、ユニクロの柳井会長が口にしていたように、企業は優秀な人間だけを雇用したい。普通の人間でも不足で、それ以下は要らないのである。生産性が低い、給料分しか働かない社員は辞めさせたいのだ。  社会の公器が、そんな発想に立つこと自体が許せないが。何よ

        • 香港の現状/そして、中国人は日本映画をどう観ているかという話

           火曜水曜とニ夜連続「BS世界のドキュメンタリー」を観て、金曜日にはアップリンク吉祥寺で、香港の反スパイ法反対デモを内側から撮影したドキュメンタリーを観てきた。BS世界のドキュメンタリーは、ネット広告自動取引の裏側と、ハンガリーにおける民主主義の危機について取り上げていた。  ハンガリーがひどいことになっていることは、ニュースで見て知っていたが。完全に、旧ソ連のミニチュアのような腐敗した独裁国家に戻っていることを知って、衝撃を受けた。オルバン首相が民主化運動のリーダーだった

        教育の完全デジタル化に邁進する文科省の愚/フィンランドは方針転換

        • 猛暑で大混雑の中、八幡宮の例大祭を強行/渋谷は今日もカオス

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          やす子、下着が丸見え、胸が揺れて触られる/24時間テレビの人権侵害

           私は観たことがないが、『24時間テレビ』という訳のわからないチャリティー番組がある。番組プロデューサーが、寄付金の一部を着服していたことが発覚した番組だ。それが今年も一昨日行われた。その中でも最も不可解なのがチャリティーマラソンで、毎回批判される。  私はそもそも、チャリティーマラソンという仕組み自体を理解できない。人が走っている姿を見て募金をするというのは、どういうことなのか。で、今年は自衛隊出身の芸人やす子が走った。しかも台風が来ているため、日産スタジアムを200周す

          やす子、下着が丸見え、胸が揺れて触られる/24時間テレビの人権侵害

          投資立国ではなく文化立国へ/花火大会を全力で支えよう

           昨夜は、秋田大曲の全国花火競技大会だった。この競技大会は各業者が、本当にやりたいことをやることができる貴重な場。業界の動向や、花火師たちが考えていることがわかるので、私は毎年欠かさず見ている。  創造花火の部で優勝したのは、ワタクシ一押しの伊那火工・堀内煙火店。自由玉の部でも入賞した。自分の目の確かさに、我ながら惚れ惚れする(どや顔) さっそく、お祝いメールを送っておいた。  季節を先取りし、初秋の田んぼをトンボが飛んでいるような風景を、和美を使った最小限の表現で見せて

          投資立国ではなく文化立国へ/花火大会を全力で支えよう

          犬も人間も、年齢を重ねると色々ある

          私ね、時々いきなり世界が回転することがあるの。気がつくと、ひっくり返っているのよ。あれ?と思っていると、ママが無言で体勢を立て直すお手伝いをしてくれる。 以前は「きゃーっ、駒子が転倒した!「大丈夫?」と大騒ぎしていたけれど、最近は無言。お姉ちゃんと「駒子がショックを受けるといけないから、騒ぐのはやめよう」「淡々と対応しなくちゃ」と、ヒソヒソ話していたっけ。 別にショックを受けているわけじゃないけど・・・・どうだろう、受けてるかなぁ・・・。そう言えば、近くに住んでいる同い年

          犬も人間も、年齢を重ねると色々ある

          英語で金融教育だって!

          今春、官民で設立した金融経済教育推進機構が本格的に始動した。金融機関に属さない中立的な立場のアドバイザーを認定し、学校で出前授業をするそうだが、官民というところがそもそも怪しい。その象徴がクールジャパン機構だ。 さらに一部進学校には、金融機関の社員が出向いて英語で授業をしているそうだ。英語に強い投資家なんて、いかにもグローバリストだ。政府は、そういう人間か欲しいのだろう。体制に疑問を抱かないし。 専門家も、月々の食費や通信費もわからない10代には、ローンの仕組みや家計管理

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          終戦の日に戦闘機パイロットを称賛した、TBSの「ひるおび」

          TBSは10年ぐらい前から自衛隊広報を担ってきたが、ここまで露骨にするとは驚きだ。あえて反戦意識が高まる日にぶつけてきたのである。「報道特集」や「サンデーモーニング」のような真面目な番組もあるが、部署によって違うのだろう。 かつてはどのテレビ局も、終戦の日にはドラマを放映したものだ。それが今や、この惨状である。 最大の理由は、予算も労力もかかるのに、視聴率が取れないことらしい。しかし年に一回だ。視聴率に関係なく、メディアの矜持として何かやるべきではないだろうか。 さらに

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          NHKはパリ五輪一色で終戦特集もなし/孤軍奮闘の『虎に翼』

          毎日色々なニュースが流れてきて大変だ。頭痛がする。NHKは五輪一色で終戦特集もアリバイ程度にしかやらず、朝ドラに丸投げだ。「虎に翼」が一手に引き受けて孤軍奮闘状態である。  出色のフェミニズムドラマとして始まった「虎に翼」だが、先々週から朝鮮人虐殺、戦争責任と話が進んできて、今週から原爆投下の話になる。  主人公寅子の再婚相手となる星航一役が岡田将生だと聞いた時は、がっかりした。あんな超絶イケメンが登場したのでは、ドラマの世界観が壊れてしまうと思ったからだ。  しかし、

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          プロが撮った完璧な写真が伝える、アメリカと日本、そして世界の危機

          この写真、構図の完璧さに驚く。ポイントは画面を貫く縦の線。ロバート・キャパの「演説するトロッキー」を思い出した。 カメラマンの娘が、速報が流れた直後から「この写真は誰が撮ったのか」と言っていた。誰も写真が撮れる時代だからこそ、プロは違うということがわかる。硫黄島に星条旗を立てた時の写真のように、大きな政治的効果をもたらしそう。 バイデンは迷走しているし、これが決め手になって「もしトラ」決定か。トランプは日本に、もっと防衛費増額を求めると言っている。岸田首相はNATOの准メ

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          石丸伸二の人気を分析したい中高年の前に立ちはだかる壁

           それにしても、都知事選で石丸伸二がどうしてあんなに支持を得たのか。一週間たっても腑に落ちない人は少なくないだろう。特に中高年層に。私もその一人で、頭ではSNS戦略、特にTikTokを使いこなしたとわかっていても、なお深掘りしたい。というわけで色々情報収集してみて、いくつかのことがわかった。  まず、フランスでも極右の大躍進を支えたのが、20代の若い党首によるTikTokの活用だったこと。TikTokの登場から全てが変わった感じがする。もちろんシリアやウクライナ、ガザその他

          石丸伸二の人気を分析したい中高年の前に立ちはだかる壁

          Kpopグループ・TXTヒュニンカイとのコラボで「下手だ」と袋だたきに/SnowMan渡辺翔太の歌唱力についての、ある視点

          娘は小学校から音大附属に通っていたけれど、よく弾き間違える子だった。学校での採点は減点法だから、いつも評価が低かった。 しかし、個人的に指導を受けていたのは現役のオーケストラ付ピアニストで、「間違えることを恐れて萎縮してはいけない」と励まし、あるエピソードを話してくれた。 それは、世界的なピアニストの生演奏を聴いた時のこと。両手でオクターブを連続演奏する際、音を全て外していたそうだ。しかし、その演奏にはそれ以上のものがあって感動したと。 音楽は「音を楽しむ」と書く。自分

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          雰囲気詐欺・石丸伸二を押し上げた新自由主義の30年

           都知事選、現知事当選はまぁそうだろうという感じだが、問題は石丸伸二の2位である。  地元で様々な問題を起こし、質問した中学生をパワハラで泣かせ、議員と罵倒合戦を繰り広げ、印刷会社に訴訟まで起こされているモラハラパワハラ男が、「日本一のユーチューバーになる」「生徒会長に100万円配るから面白いことをやれ」と言って、多くの票を集めたのだ。言うなれば「令和の橋下徹」「橋下徹のネット版進化系」。  Xに興味深い投稿があった。共産党の地方議員の投稿である。二十歳の娘さんが「自分の

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          マスコミは都知事選を無視して五輪モード/五輪は今や金まみれ政治まみれ

           都議選を無視して、テレビなどはもはや五輪ムードになっている。東京五輪であれだけ問題が噴出したのに、全く懲りていないのか。フランスだって、五輪どころじゃないだろうに。  先日死去したベテランのスポーツジャーナリストが(名前は失念)、「このまま五輪を続けていたらスポーツは終わる」と警鐘を鳴らし続けていた。  4月ごろから『週刊文春』で「バブル兄弟」と言う連載が始まって、私は毎週読んでいる。東京五輪後に逮捕された元電通の高橋治之と、故人である弟の治則の半生記だ。治則は「東南ア

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          再開発という名の破壊/自治体と不動産屋とゼネコンと設計事務所の大罪

          いつもいい展示を行なっている練馬区立美術館が、70億円かけて建て替えられるという。しかも、こんな軽薄なデザインで。区長は「国宝を置きたい」などと馬鹿なことを言っている。 キャッチコピーは「本物に出会える場所」だとか。では、今までは本物ではなかったとでも言うのか。税金の無駄遣いだ。建築事務所もゼネコンも、こういうことで儲けているなんて恥を知るべきだ。

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