とらつば投稿9月④

9/23
【長いパスと人生の宿題】
誰にどういえばいい?この感情。
アツいやら苦しいやら重いやら嬉しいやらの全部乗せで、消化できませんが?(嬉しい悲鳴)
美佐江のお母さんと美雪の残念な近況に直面する寅子
息子まさかの衝撃のキャリアチェンジとかわいすぎる航一さん
…からの、よね渾身の弁論にそれを支える轟
どうすりゃいいのさ。何をどうふりかえれば?
でもこれらは全部、長いパスだよな、と思う。
人の人生はゲームのようにリセットしたらまるで別の人として再スタート切れる、ってことはない。ずっと「やり残した(未完了で成仏させなかった)宿題は残っていて、ちょいちょい湧いてくる。「蓋をしたつもりだったことに向き合うしんどさ」と寅子が言うまでもなく。
美佐江の件は寅子のせいというわけではなく、でも、おばあさまが「美雪に美佐江をなぞらせるわけにはいかない」とおっしゃるので当然ながら「こじれたままの美佐江の行状が影響を与えた結果としての美雪」なのであろう。詳細はわからないけど(わからなくてよいけど)。だとすればそこに一縷の望みとか、わずかな光になりえた寅子はずっと抱えてきた「解決できないまま見ないで来た未完了の課題」を浴びせられていることになる。長い長いパスだ。家裁にいることがまた皮肉というか運命というか、そうやって人生の積み残しは追いかけてくるのか。
朋一くん、百合さんに「手先が器用でね」と楽しそうに褒められていた大学生時代のことを思い出したのかな。法律はやりたくない、でもじゃあ何だったらやりたいんだろう?そうやって考えて思い出したのかな。キャリアチェンジの相談の中にたまに起きる「実はずっと●●したかったんです」という話があるのだけれど、それでうまくいくかどうかはともかく、「法律を学ぼうとした時と同じくらい熱くなったかい」「それなら楽しんでおいで」という航一さんの在り方は、そんな息子の人生を全部受容する言葉だったよね。「楽しんでおいで」って言える?なかなかあの立場ではないよ。よくあるのは「ほんとにそんなんで一人前になれるのか。子どもを養えるのか」「今度こそ、大丈夫なんだろうな」ってやつだよ(ダメなヤツ)。
けど、航一さんは、遠い昔寅子に「ちちんぷいぷい」の魔法をかけられたあの日の航一ではなく、その親としてダメだった自分に向き合ってコツコツと自分を変化させてきたからこその、あの言葉だったよね。
そして最高裁。
いうまでもなくよねさんの真骨頂。みいこさんに起きた酷い出来事を「ありふれた悲劇だ」と口にしたその「ありふれた」中にはもちろん幼い自分のことも姉のことも入っている。司法試験を断念しかけたときもあった。それを支えた友たち、マスターのことも思いながらきっと「多くの人から受け取った長いパス」をあの場で言葉に込めていただろう。よねさんの4分と、「いけ、山田」というささやきは2回見てもぐっときた。あと何回みてもぐっとくると思う。
最高裁長官(桂場)は、あの思いにどうこたえるのか。
「クソな司法」ではなく、ちゃんと彼の理想とする正義の司法を見せてくれるのか。遠い昔の寅子の父の裁判のときの名判決文を生み出した桂場は発動されるのか。彼にも長いパスが渡っているのだろうか。
あと4回とか、マジでヤメテ…と無駄な叫びをあげたくなるし、次の朝ドラの番宣とか、始まったらすぐテレビ消す(ブギウギのときはなかった感情なので、やっぱ今回は特別にハマってるんだなあ…)

9/24
【決めつけてモンスターを生み出すのは誰?】
何か月も引っ張ってきた美佐江案件、今日で一区切り。あの役者さんの微妙な演じ分けには感嘆するわ…髪型だけじゃなく完全に別の人になっているものね。芯の強そうな俳優さんで、この先も楽しみだわ(Xでディスられたりしてたみたいで←理解できない阿保がいる…でも毅然としているよ。心守ってね…とおばちゃんは祈ってるよ)
今日の寅子と美雪のやりとりには、いろんなことを思いうかべた。「特別な存在」「扱いづらいと横に置く」「そんな(普通じゃ)つまらない」と自認する美雪と、そういう社会(大人)の在り方について、寅子は「確かにあのとき線を引いていた。だからそのことを深く後悔している。」
そして、
・特別だとか違うとかそんな風に決めない(線を引かない)
・普通でもいい。なんだっていい。とにかくあなたの話を聞く
そんなやりとりを見ていて、
ちやほやされて、すごいねって言われる子どもも、
扱いにくい子認定されてしまう子どもも、
親がどうとか、才能がどうとかで配慮される子どもも、
そうしたくてそうなっているわけではなく、そこに決めつけのレンズを通してみている側があり、
まわりまわって「モンスター」になっていくんだろうな…とふと思う。それをするのは親かもしれない、教育現場かもしれない、親戚や無責任な他人(今ならSNSも)かもしれない。
枠組みを与えて、その枠組みで理解することが楽で、ときには責任回避ができて楽、そんな風になってない?って突きつけられている気もした。
美雪はこれでスムーズにいく、とは思わない。
きっとこの先もいろいろある。おばあちゃんだっていつまでも元気ではいられない。けれど人生のどこかで「丸ごと受け止める、ちゃんと聞く、レッテル貼らないで見る、付き合う」と言い切ってくれる大人に出会えたことは多分力になるよね。
さて、残り3日。
明日は最高裁大法廷!
何を語る?桂場さん、お団子食べてー!

9/25
【自分に嘘をついていないか】
外向けの自分と本心の自分、いつでも完全に言動一致しているか、というとそうじゃない。
でも今日の虎に翼では「お前の心はそこにあるのか」「外からの評価に合わせてないか?」「求められることの方を優先していないか?」とみんなが向き合わされていたように思えた。
刑法の尊属殺人の重罰規定は憲法14条に違反している。
…そう伝えた桂場さんの最後の唇ひくひくは、なんだったのかな。桂場さんっていつも「自分のお気持ち」より「全体観」とか「あるべきタイミング」とかを大事にしてきた。優先してきた。そういう人として描かれ続けてきた。
でもね、寅子パパの事件のときも政治的な圧力に対し「ふざけんな」って思いで魂込めた判決理由を書いたよね。
今回、純粋な法律家としての自分の思いを最後の最後にこめてきたんじゃないのかなって、チョコ食べる表情を見て思った。いい終わり方できたよね。
みいこさんによねさんがかけた言葉。
「ここからは誰にも奪われるな。自分で決めていけ」と。生まれた家の環境によって、人生を奪われかけたよねさんが、全力で逃げて道を切り開いたことがまたわいてきた。よねさんこそが自分のスタイルを譲らず、貫き通してきた人だよ。もちろん轟もだけど、ほんと惚れるわ。
少年法の協議の場でも、「あいまい」で情緒的な発言で少年法の理念や家裁の役割を語る寅子に、最初は「困ったもんだ」という顔をしていた改正したい委員たち。でも、「総理大臣も法務大臣も変わったので」「愛を語りましょうよ」という話にふっと表情が変わった。「組織として偉い人がやれといったことをやるべきだとふるまっていた人たち」が「個人」に戻った瞬間だった気がする。
最後の最後、ゆみとみいこと寅子の会話。
あのゆみの最後の表情は何を語るのだろう。あの「やっぱり」の後は何?明日わかるんだけど(笑)、そこにもふと「あるべき私とありたい私」みたいな言葉が浮かんだ。
寅子は「親に向いていない自分」という。そして「親として人としてそうありたい自分として娘たちに熱く時に大仰に語る」優未にはずっと何かまだ「ちゃんとしないと」って構えているのかな。
それを優未はどう感じているのだろうね。
憲法の「個人の尊厳」「人としてすべて尊重される」を土台にしているこのドラマでは、「あなた自身があなたとして、あなたのままあなたの本心を大切にしてる?」とも問いかけてくるのだろうか。

9/26
【明日になったら違うことを言ってるかもしれない】
今日はね…今日はね…何か言うのが野暮だよね、
何年も続けて朝ドラ見てきて、だいたい最終日の前の日に物語としては一区切りつくんだよね。最終日は上がった気持ちがふっと着地するような、何かを確認するような、少し先の未来から見返すような作りになっていることが多くて。だから個人的には最終回な心づもりで見ていた…んだけど、今日の終わり方からすると、明日はよねさんが桂場を蹴り上げるかもしれないので期待しましょうか(そんなことはない・笑)
さて、
今日の私的ポイントは「明日になったらまた違うことを言ってるかもしれませんが」という寅子の桂場への言葉。
「法律とは」という定義をずっと考え続け、桂場さんにそのたびそれを言い続け、自分で考えたその時の気持ちを大切に生きてきた寅子。
一番の根源でもあるそれを、しょっちゅう変えるし「明日もまた変わるかも」という。その永遠に決まらなくて変わり続けることも容認して、時に自分の過ちに後悔し、謝り、でもそれを味わいながら生きてきた寅子の在り方が、私はこのドラマの大好きなところかもしれないな、とふと。
一度決めたのだからこうでなくてはならない、というものとは最初から距離があって、「そうなっているのだから(納得しなくても)そうすればよい」という考え方をよしとしない寅子。わからないときはいつだって「はて?」と言い続けてきた笑。
そして、法律を「ただ頑なに守るもの」ではなく、その社会情勢を見ながら「ちゃんと大切なもの(人権・尊厳)を運べるものであるかどうか」に応じて話し合ったり、修正したりしていくことを不断の努力(憲法13条)をもって行うのだ、と繰り返してくれるところもよい。
法律、だけではなくてね、これは「よい環境(社会)を作るのは国民一人一人が自分ごととして考え、語り、行動することが必須なのだ」と私たちにも伝えてくるところだと思って見てきた。
寅ちゃんがいてくれたら、じゃないよ。
みんなの「不断の努力」なんだよ。
「言いたいことは言うのがいい!」(直道さんの物まね風な花江ちゃんの言葉笑)。誰か一人に言ってもらうんじゃなくてね。
はあ、それにしても
反則だよね、優三のあの出方とあの音楽のセットは(泣)
※ということで、すでにロス気味なので↓↓こんなの買っちゃっております。早くDVD来てほしい…(いやずっと先だから笑)

9/27
【さよーならまたいつか】
終わっちゃったね。
でも、これは終わりじゃなく続いていく物語だと、続けていくのは私たちなのだと、そんなふうに最後の寅ちゃんの表情を受け止めて思った。
今日、年を取った優未ちゃんになって始まる、っていうのは想定通り(朝ドラ最終話あるある)だったけど、橋の上の美雪には驚いたなあ。聖橋は新しくなってたねえ。平成11年にも花江ちゃんはしたたかに元気だし(手の加齢メイクすごかったね)、航一さんは超おじいさんだし、朋一さんは髪型がアーティスト風だったし笑、そこかしこにツボだらけで楽しかった。
笹竹(完全にセットじゃなく今の現地=竹むらでの外観ロケだったね)で、玉ちゃんのキレっぷり笑がヤバかったのと、桂場さんの「失敬」っていってニヤリとするのはたまらんかったなあ。
そして、やっぱりはるさんの言葉に戻るんだね。
1週目の5話の「おだまんなさい」って桂場をどやしつけたとこ、今でもまざまざと目に浮かぶ(私はほとんど録画してません笑)。あの日からずどん、とハマったんだった(私は全体を見て一番叫んだのも泣いたのもあの場面だったのよ。優三とのシーンじゃなくて・笑)
男女雇用機会均等法の前に就職をして、たまたま求人系の職場にいて、ずっと雇用に関する法律は身近なところにあって、法律によって人の暮らしが変化するということを、なんとなく体感しながら20代30代を生きてきた私。女性の労働にまつわる変化がとても大きな時代にその場にいて、法律を作る側のことはあまり考えずにいたけれど、今回の優未ちゃんの「法律は私たちの味方」という言葉を胸に、世の中の動きや政治の動きにもしっかりと目を向け、物を言っていきたいなと、改めて。
わきまえたりしないってこと、大事に強く言っていきたい。
たまたま、だろうけれど、直後のあさイチプレミアムトークのゲストが小泉今日子さんで、ここ数年は「政治的発言が多い人」としてネットで何かと叩かれがちだったりもするよなあ…と、彼女の中にも寅子を見たような気がした。
発言の是非を言っているのではないよ。彼女の主張と私の意見が全部合っているわけでもないので。それはそれ、これはこれ。
でも、まだまだ「物言う女性」や「社会問題に意見をする芸能人やスポーツ選手」はただただ叩かれてしまう世の中に、はて?と言わねばなと思うのです。
そういうのを「自分の言うべきことじゃない」とするか、寅子のように「私たちのような女はごまんといますよ」と言うか、なんだよな。
ドラマは女性が主人公だし、差別的な社会の在り方に「はて?」と言ってきたから女性にスポットが当たっていたけれど、伝わってきたことは女性だけにどうこうする話ではなく、ずっと「人権」と「個人の尊厳」を考えてきたことなので、関係ない人は一人もいないんだからね。
ということで、ドラマは終わったけれど(ロスは大いにあるけれど笑)
「いつも心によねさんを」
困ったらこれを唱えて生き延びようぞ、みなの者!
半年間投稿にお付き合い、ありがとうございました~


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しばたともこ@キャリアコンサルタント
サポートを頂いたら…どうしましょう?そんな奇特な方がいたりしたら、全力でキャリア満足につながる日々の実現をお祈りします♡