朝ドラで見る「個が先か、組織（集団）が先か」境目で苦悩するあるある

朝ドラを熱心に見ている民です（笑）
いろいろと思うことは毎作品ごとにあるのですが、それでも見続けている理由は
「朝ドラってキャリアの物語だから！」です

まあ社会で起きているだいたいのことをキャリアのメガネでとらえがちなキャリコン病なのでご容赦くださいまし（笑）

毎度朝ドラについて思うことを不定期にfacebookでほざいているのですが（そしてそれは一部のマニアに好評で「今回柴田さんの朝ドラ受けに乗りたくて、超久しぶりに朝ドラ見てます」という視聴者を増やしております→NHKさん、ほめて笑）

今週はほんとに深くて、書こうとしたら今日はなんだかFacebookでは長くなりすぎそうだということで、noteです。
過去朝ドラでも思いが強くなるとうっかりnoteに書いておりますが、まあ、ようは「長く書いてもよさそじゃね」「長いぞ」ということです笑

朝ドラ見ていない人にはどうでもいいと思いがちですが、実は！違います。私の朝ドラ受けは、毎回「朝ドラ…からの…」の後半の勝手な展開がメインです。なのでみなさん、朝ドラわかんなくてもわかるから読んで♪

（前置き長い笑）

さて、今週も（始まってから毎週ずっとかも）濃密です。話題がめちゃくちゃ多いです。月曜日は何をやってましたっけ？状態で濃密でした。
ただ、私の心にずどんと響いているのは

個、と、組織（集団）との間で揺れ動く人のありよう、です。
ネタとしては２つ。

１つ目は法科の同級生男子花岡（3代目のガンちゃんが演じている王子様キャラ）のこと。
最初は主人公の寅子はじめとした法科に進学してきた女性たちにとても親切で、人として尊重してくれているようなふるまいをしていました。でも手練れの視聴者はわかっています笑。「これ嘘っぽくね？」と。案の定「女性蔑視的な別の顔」が見え、とうとう女子VS男子の構図のハイキングシーンで全部露呈します。「（普通は女は男の下だが）あなたがたについては特別扱いしていただろう？」という最悪の発言として。
そのあと寅子ともめた結果大けがをして入院し、退院時に迎えに来てくれた轟くん（実は親友）に向かっても「これからは（彼女らを）特別扱いしない。今回の件で（寅子を）訴える」と言う花岡を轟が平手打ち、そして轟が熱い説得をするシーンがあります（轟サイコー）。

・花岡はそんなことを言うようなヤツではなかったのに、残念だ
・女子たちは（轟も以前は対等に扱っていなかったが）よくよく知るとすばらしい「漢（おとこ）」ではないか…とかとか。

おそらく古くからの真の友人でもあり、昔からの花岡の良いところをよく知る同郷の轟の言葉に目が覚めた花岡。
そもそも花岡が「男と女は違う」「男たるもの～であらねば」みたいな、ある種の鼻持ちならない男尊女卑的な思考と態度に出たのはなぜか？と考えると、わりと簡単です。

東京の大学に出てきて、いわゆる抑圧的・同調的な男社会のなかで「男たるもの〇〇であらねば」に同調して組織（集団）のなかで存在感を示すために、その場の最適なありようを演じたのでしょう。そして最初は演じていたのがそれで認められるうち「それが正解」となったのでしょう。
でも、轟は同調しなかった。彼は彼なりの矜持があり、男とは〇〇であるべし、女はそれに当たらず、みたいに思っていたのが「あれ、男女ではなく個々の個性や能力なのだな」と自分で気づいて学んで、自分なりの基準を更新できた人だったわけです。

個と組織（集団）の関係でいえば、花岡は悩みながら集団の正義のほうに飲み込まれ、轟は外側の「普通」にとらわれずに自分の意志を少数派でも貫いた人だったということです。

そして2つ目。
今週の後半に一気におしよせたもう一つの事件、それが主人公の父親の贈収賄疑惑、です。ええ、これも個と組織の間に挟まれた話ですよね。辛いわ…。

主人公の父（直言）は帝国銀行で働いているバリバリエリートです。そして穏やかな優しそうな家族思いの人です。娘を溺愛し、娘の破天荒な選択をいつも「トラが幸せなのが一番だ」と言ってくれる人です。なのに、まさかの贈収賄事件で主要な人物として逮捕されてしまいました。布石は何度かドラマの中で描かれています。いつもにこやかだったのに苦しそうに休日出勤するところ、なにか抱えた表情で遅くまで働いていて、帰ってきても食欲がないというところ…何かが起きてる？と朝ドラマニアは察知していましたよね。

ともかく、この逮捕がどうなのかはわかりませんが、父の立場（経理課長）を見るにつけ、なんらか巻き込まれたか飲み込まされたか、簡単にはほんとのことを証言できなさそうな立場であることは容易に想像できます。

あんなに人がよさそうなのに。
出世欲がとても高い人でもなさそうなのに。
家族のことが大好きで、社会に対する裏切り行為なんて絶対にできなさそうなのに。

でも、組織的な事件（贈収賄、不正、脱税、などなど）が起きる現場はいつもそんな人たちの集団だったりします。意志をもって悪いことをしようとしているというより、なんとなく、みんなの空気で、職場が〇〇だし、自分だけがNOは言えない、自分がやらないと誰かに迷惑がかかる…みたいなことの積み重ねで起きてしまっています。

個と組織（集団）の間にはいつもジレンマが落ちています。

あの人はいい先輩なのに、
家族にとってはいいお父さんなのに、
地域で一番優しい人だけど、

みたいな人が、組織（集団）に入るとがらりと変わってしまうこと、
あるいは、一人一人はおだやかなちょっと弱気な人なのに、集団でいじめをしたり、不正を働いたりする、なんてこともよくあることです。
個別に話を聞くと、え？って思うくらいにギャップがあることもあります。

みんな、私には関係ない、じゃないんですよ。
そこにたまたまいなかったから、だけかもしれないんです。

日頃から「私はそう思わない」「私はやらない」「私は違うと思う」「私はこっちに行く」そういうことを言ったりやったりする訓練をしておかないと、絶対にできないんです。

全員がおかしいと思っていたのに逆のほうに進んでしまったことなんて、歴史の中にいくらでもあります。誰も他人ごとじゃないんです。
自然に「轟くん」は生まれないのですよ。轟すてき♡って言ってるだけじゃね。

そういう人がいてほしい、と思うなら、あなたがその「そういう人」になりなさい
そんな言葉を昔著名な誰かが書いていて、それが私の大切な指針でもあります。常にできているとは到底言えないので、繰り返し思い出さなくてはと思うのです。

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