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安定を目的にすると不安定が近寄ってくるよね

市役所で働いていたころ、インターンシップで大学生を年に数人受け入れていた。人事が取りまとめるのではなく、部署ごとに直接申し込みを受け付けていたので、時期が来るとそんな電話を取ることがあった(わたしはこういうの好きなタイプなので、張り切ってやってた・笑)。

まあ、市役所でインターンシップをやりたいってことは公務員志望なわけで、でもその子たちがわかっていない「公務員のリアル」を知ってもらいたいなと心から思っていたので、いろいろとハードルの高いプランを用意して手ぐすね引いていたよね(めっちゃ親切でしょ・笑)。

そもそもかかってくる電話がたどたどしい。まあそれはよいが、部署ごとに受付けしているから当然「うちの部署を希望する理由は?」って聞くよね。もうそこから答えられない。まあよい、ちょっと揺さぶりたいだけで、門前払いをするつもりはないので軽いジャブよね(笑)。で、来てもらって5日間いろんなことをやってもらうのだが、過去に覚えている中で2人「うーん」と思った学生がいた。

とにかく素直だし、言われたことはやろうとする。でも、わたしが用意していたプログラムは机上で考えてたらできるようなものじゃなくて、行動しないとなんともならなくて、その上「自分で考えて何かを生み出す」必要があった。だからそこで完全に手が止まってしまう。助け舟はもちろん出すんだけど、なかなか発想もないし、動けない。
逆に面白いなあと思ったタイプの学生は「ちょっと業務中に携帯使っていいですか?友だちにアンケート取りたいんで」と言ってきたり、「今日の昼間行った場所、明日朝寄ってきたいんで、出勤少し遅れても大丈夫ですか」と言ったりしてきて、こちらが思いもよらないようなネタを拾ってきたりしていたけどね。

その「うーん」と思った2人の共通点は「地方公務員を目指して、大学時代はそれだけに集中してきた」こと。その理由は「親が安定しているからと勧めて、自分もそれがいいと思った」から、だった。そのために「ダブルスクールで公務員試験対策塾」に通っていたし、アルバイトは「単発の模試監督」のようなもので、遊び要素、出会い要素、偶発性の起きない学生生活だった。ようするに「安定を手に入れるために無駄のない日々」を過ごしてきたということだった。いい子だなあと思う男女だったけれど、話は広がらないし、そもそもわたしに対して質問もない。市役所の仕事の幅の広さや可能性を語っても、内容にあまり興味がありそうな様子がない。

結果として女性のほうはわたしのいた市役所を受験したらしいが、受からなかった。そこからどうしたんだろう(男性のほうは不明)。受かったとしても入った後には大変だっただろうな、ということは予測がつきすぎる。世間のみなさんは公務員=安定と思っているが、組織が安定しているだけ(つぶれない)で、数年に一度転職のような異動はあるは、命に係わる仕事から怖いお兄さんがお相手の仕事もあるは、災害になったら自分や自分の家族より住民を優先しなくてはならないは、生易しい仕事じゃない(安定=のんびり働けるって誤解しかないわよね・笑)。

似たような話はよくある。
公務員でなくとも「とにかく安定を目指す」ために、余分なことをしない。大企業でもなんでも「入社して席を確保」したらなるべく「難しそうなこと」「リスクのありそうなこと」には手を出さない。無難に安全に…そんなふうに過ごすという人がいる。それが悪いといっているわけではないが、その安定は「自分が作り出した」のではないということを気がついていない。その安定は「相手(組織)の都合に丸投げしている」ということに。これほど不安定なことはない。その結果として、自分の意思決定力、選び取る力、エンプロイアビリティが下がってしまうからね。そしたら安定をくれている人(組織)に逆らったりできない。

専業主婦を目指す人にも「そんな無理して共働きとかしたくない。わたしは器用ではないので両方はできないから、家庭に専念して家族を支えたい」という理由がよくある。そのこと自体は自由だし、とやかく言うことはない。ただこれもまた、「安定(安寧かな)を目指しているがそれは夫に丸投げしている」(逃げられない・選べない)ことになる。そこから時にいろいろな残念、不安定が発症している。

最近、小学生にも「将来の夢は?」「そのために毎日どんな努力をするの?」みたいなことを書かせる宿題があったりするらしい。
そんな「まっすぐ一直線に無駄なく生きる」みたいなことに、何の意味があるというのだろう。それをさせる側は「早く決めたら人生が早く上手くいく」「無駄がない」「安心できる」と思っているのだろうか。
でも、寄り道もなくそこに向かっていったとして、それしか見てこなかった人が失ってしまう可能性や余白の価値、その豊かさ面白さを分かって言ってるのかな(わかっちゃいないんだろうな)。
ま、受験産業とか教育ビジネスにはそういう「脅して安心を買わせる」ようなメカニズムが働いているから、これはもう親が自衛するしかないんだけど(親も加担していたりもするしね・苦笑)。

「そこに」しがみつくより、次を選べる力を持つほうが絶対に「安定」していると思うんだよね。そのためにも、あっちこっちを覗いてみたり、いくつかのことを試してみたり、回り道したり失敗したりするほうが、きっとあなたの生きる力そのものを鍛えてくれると思うよ。

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