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適性とか適職ってホントにあると思う?
キャリアコンサルタントという仕事をしているので、適職診断とか適性とかタイプがどうとか、そういう話はもう聞き飽きてる私。でも同時に「そ・れ・は・ち・が・う」と思うことが山盛りなので、今日はその話を暑苦しく書く。
いきなりだけど、あなたの特技は何?あなたは人からどんな人って言われる?あなたの「ちょっと人より出来ること」って何?
それぞれに答えはあるよね。
ではその答えを思いついたあなたは今、どこにいて、誰と働いている?
そして
「自分では得意とは思わないし好きでもないけどあなたって〇〇タイプだよね」って言われて「そうなのかもな」と思うことはある?
うっすらわたしの言いたいことはわかると思うのだが、ようはその自己評価って「周りとの関係性」「環境との適合度」からそう思っているんだよねということ。
たとえば
・コミュ力が高い
・企画力がある
・仕事が早い
・決断力がある
・行動力がある
…なんていう「ふんわりした」強みや特技は言うまでもなく「あなたがいる場所では」という但し書きがつくのは、ちょっと考えればわかる。
社風が全く違う会社に転職するとびっくりするほど自分に対する人の評価(とらえ方)が変わったりする。それこそ、住む場所を変えたり、海外に住めばもっと変わるだろう。(私もリクルート⇒市役所転職で骨身にしみたよね。よくも悪くも笑)
家庭環境の影響でずっと「自分はダメな人間」と思い込まされて消極的に生きてきた人が「親に関わりのない場所で0から新しいことを始めたら全然違う自分に出会えた」なんていうのもよくあること。
これは本人が嘘をついているわけじゃないし、変わろうと思い立って努力したから、ってことだけじゃない。
だから「仕事ができる」なんてのはもう超超いい加減な評価なわけで。
場所が変われば、役割が変われば、一緒にいる人が変われば「めっちゃ変わるよ」というのは実際によくある。
…え、ちょっとまって、だからこその「適性」とか「適職」なのでは?と思ったあなた。そうなの、だからみんな「ここじゃないどこかにわたしにぴったり合った仕事(場所)があるはず」ってなっちゃう。
それが違うんだなあ…(やっと本題?)
そもそも多くの心理アセスメントって、あれ設問に「自分で答える」でしょ?あれ自己診断だよね。当たり前だけど。
診断に応える自分のそのときのコンディション(含むおかれた環境)も大いに影響しちゃうんだよね。実際。
たとえば職業興味テストの設問は「興味があるかどうか」「好きかどうか」を聞いているんだが、たとえば
・木工の技術を身につけること
・バンドに参加すること
・ボランティア活動に参加すること
・自分で事業をすること
・プログラミングを学ぶこと
…って、未体験だったらそこが面白くなるかどうかわからないよね。しかも誤解している可能性だって大いにある。
実際「その時は興味がなかったんだけれど(たまたま)人に誘われてイヤイヤついていったら自分の方がハマって」とか、「親が急死して事業を継ぐことになった。子どものころから絶対にやりたくなかったのに、今はやりがいを感じている」とか、一般的に良くある話。
ましてや、学生や若手などの「まだ世の中にどんな仕事があるのかわかっていない段階」で、職業の興味を聞いたところで…ねえ。実際に学生はよくテストの結果を見て「わあ、当たったあ」とか「え~これは嫌だなあ」とか、まるで占いのようにしか見ない(これを使って話を引き出して一緒に考えるのが大事なので、結果だけ手渡して終わっちゃダメ)
キャリアアンカー(という超有名なアセスメント)でも、まずは自己診断だよね(その後インタビューをちゃんとしてふりかえったり、深めたりが必要だと本にも書いていますが、実際は診断して終わりってなってる。解釈も正確に全然伝わってないし誤解も多いと思ってる。
で、いくつかの問いも「そう思う」っていう回答をしてる自分が「本心なのか、そうありたいなのか」が区別つかない。あと日本人あるあるで「どちらともいえない」が多くなる笑。
まあ、そういうこと。
参考にはなるし、そこから話を深めたり広げたりすることで自己理解の入り口には使えるけれども、「だから私は〇〇に向いている!」って決めつけて狭める話じゃない。
なんなら、私は別の適職診断的なもので「公務員」は向いてない度が爆発してたけど(想定通り)、それホントに間違ってるから。
何がどう間違っているかというと(テストの精度ではない)
「そのテストを作るための判断基準としての「公務員像」が古くて画一的」
…ということ。「公務員もっといろいろなんだが?」だよ笑。
でもどんなテストもある一定時期に「だいたい平均的なその職種の人物像」と「その職業の人たちのいる社風」を「こういう感じ」ってして作っているから、しょうがないのよ。テストが悪いわけじゃない。
そんな感じだよねー、ってくらいでしかない。限界があるのよ。
世の中どれだけ変化している?ってことを、忘れちゃいけない。
適職=自分はこの仕事していて楽しいし周りの役に立てているって思える、くらいのこと。
でもってそれは
「仕事内容」×「人間関係(環境)」×「役割(期待されていること)」が複雑に絡み合っている、変数だらけの世界なのだよ。
だから一生変わらないものでもない。
(もちろん中には「自分、これしかできないんで」みたいな人もまれにいるけど、その方が圧倒的に少ないのよ)
そういうものに巡り合わなくたって、別に不幸じゃないから!!
自分が心地よくいられる在り方はいろいろあるから!
そもそも、少なからず個人のキャリア相談をお受けしていると、それなりの年数(10年~)たった人の、そこに至る経緯のさまざまなきっかけがとても面白い。本人はあまり自覚していないのだが、こっちが聞けば「え?」「おお!」「そこも?」ということがたくさん。
「全然興味なかったんですよ。こんなことやるなんて思ってなくて」
「昔はものづくりだけはやりたくなかった」
「人の上に立つとか無理なんで…社長とかなんでやってるのか」
「人前で話したりする自分を昔の同級生たちが一番びっくりしてます」
こんなのそこら中に転がってる。
で、どうしてそこに?と言うとそれはもうシンプルに
「目の前のことをコツコツ(一生懸命)やっていた」
「周りの人に恵まれて支えられて」
「酷いブラック企業にいたんだけれど体壊して辞めたら」
「不満もなく働いていたら人事異動で今の上司に出会って」
「体壊してテレビ見てたらそこでふと見た話がきっかけで」
…というような言葉から大転換する人、小さくころころ動いていく人、行きつ戻りつする人、誰かに頼まれて嫌と言えずに引き受けた人、数々。
だからね、
今仕事が合わなくてつらくて、これは適職じゃないのかも、と思うのはよいが、どこかに適職ってやつがキラキラ待っててくれるってことはなくて、そっちを見るまえに
「仕事内容」「人間関係(環境)」「役割(期待)」の要素を一つ一つ探っていって、何がどう合わないのか、何がどうつらいのか、それはどう解決の方向があるのかを一緒に考えよう。
そういうのがキャリアコンサルタントの仕事だと、私は思ってやっている(という最後は壮大な宣伝だが、まあわたしじゃなくても他の誰かでもいいので、誰かに相談してみて)
「こんなにつらいのは向いてないから」だけじゃないんだよー!
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