最近、行きつけの店・Sミットストアで 生のビーツを見かけるようになった。 ビーツといえば缶詰、と思っていたけれど、時代は動いているのだ。 私が子どもの頃はマッシュルームだって缶詰だったし、 牛肉はごちそうだった。 時代の波に乗り遅れないため、 生のビーツと牛肉でボルシチをつくることにした。 考えているうちにボルシチとポトフとピロシキの 区別があいまいになってきたので、 レシピを検索していくつか斜め読みした。 準備完了。 あとは、レシピの自分にとって都合のいい部分だけを 組み
お金持ちになる人には、「お金のブロック」がないのだそうだ。 「お金のブロック」とは、お金をもったりつかったりすることに対する罪悪感のことをいうらしい。 この理屈を理解するためには、お金の気持ちになってみる必要がある。 たとえば飲みに誘った友だちに、「あなたと会うのはあまりいいことじゃないんだけど、せっかく誘ってもらったから付き合います」と言われたら? あまり気分がよくないし、これからもどんどん誘おう!なんて気持ちにはとてもなれない。 お金も、感じることは同じらしい。 せっ
マフラーを巻き付けながら下りエレベーターに乗り込んだ。 乗っていたのは、スーツ姿でキャリーバッグをもった男性。 なんとなく目が合うと、話しかけてきた。 「寒いですね」 コートのボタンをかけながら、私は答えた。 「ええ、本当に」 そして、言ってみた。 「あのー、お菓子いりませんか?」 この日私は、「青色申告会」に記帳指導を受けにきていた。 帰り際、ドアに向かう私に、担当税理士さんがデスクから声をかけてきた。 「ドアの前にあるお菓子、もっていってくださいね」 会員からの差し入れ
Sミットストアのペットボトル破砕機に先客がいた。 順番待ちをしながらなんとなくその女性の動きを観察していたのだが、すぐにムズムズしてきた。 キャップを外し、ペットボトルをそっと破砕機の投入口へ。 ボトルが奥へ吸い込まれてガラガラと破砕音がするまで待ってから、外したキャップを左手の専用容器にポン。 そして腕にかけた紙袋から次のペットボトルを取り出してキャップを……。 私はひどく急いでいたわけではないし、 時間を1秒もムダにしてはいけない! なんて考えの持ち主でもない。 でも、
上の親知らずの根は副鼻腔のすぐ横にありますからね。 抜いたとき、副鼻腔に穴が開いちゃう場合があるんですよね、稀に。 で、抜いたはずみに運悪く歯根が小さく欠けることもあってですね。 そのかけらを取り除こうとしてつまみ上げた拍子に、ぽろっと落としちゃう、な~んてことがあるんです。 で、副鼻腔に落ちちゃうとね、これはもう処置するために全身麻酔が必要なんですよね、ハハハハハ。 医師はさわやかに笑った。 「いや先生、ハハハハハじゃなくて。 そこはひとつ、慎重にお願いします」 真顔で
私の親知らずは、簡単には抜けないらしい。 医師によると、顎の骨が小さいことが原因のひとつなのだとか。 私の先祖は、やわらかいものばかり食べていたのだろうか。 それとも、かたいものもろくに噛まずに飲み込んでいたのだろうか。 どっちにしても、迷惑な話だ。 まあ、百歩譲って、そこまでは許す。 でも顎を鍛えるのがいやなら、せめて配偶者には顎が発達した人を選ぶ分別をもってほしかった。 6~7年前、顔を出しはじめた親知らずの抜歯を進められ、術前に必要な診察まで受けた。 でも、抜歯の予約
たしか、小学2~3年生の頃の夏のこと。 普段は姉とふたりで使っている部屋で寝ていたけれど、その日は、なぜか同居している祖母の部屋で寝ていた。 理由は覚えていない。 たぶん、姉とけんかでもしたのだろう。 祖母の部屋は四畳半の仏間だ。 部屋の西側に押し入れと仏壇、東側の壁沿いには引き出し式の箪笥が2竿。 押し入れと箪笥の間のスペースは、2組の布団でぴったり埋まっていた。 そういえば、あのときの布団は北枕で敷かれていた。 ……いや、正確にいえば、祖母はいつも北枕で寝ていた。 細か
仕事相手と顔を合わせると、フーやれやれ的な雰囲気を醸し出しながら 「暑いですねー」なんて言い合うことが多い。 こんなときの私は、かなり背伸びしている。 かかとを上げて身長をごまかしているわけではない。 大人ぶっているのだ。 大人は夏の暑さをいやがる。 疲れるし熱中症の危険があるし、強い紫外線はシミシワの原因になったり頭皮をいためたりするからだ。 もちろん私も、ちゃんとした大人だ。 とくに仕事相手には、そのことを確実に伝えたい。 だから、暑いのっていやですよねー早く涼しくな
私は動物が好きだ。 でもよく考えると、爬虫類や両生類はそれほどかわいいと思わないし、鳥類は目つきが好きになれない。 魚はコンパニオンアニマルというより食料に見えてしまう。 ということで、訂正。 私は哺乳類が好きだ。 でもなあ。 大型肉食獣とじゃれ合いたいとは思わないし、ハムスターみたいに意思の疎通が難しそうな生きものと友情が育める気もしない。 同居したいと思えるのは犬か猫、というところだ。 ただ、猫に関しては「友だちの飼い猫と遊ぶ」ぐらいで十分だ。 独特のクールさは魅力的
知らない土地で道を尋ねやすいのは、見た目に威圧感がなく、さらに服装がややダサめな人らしい。 マッチョマンでもファッショニスタでもない私は、まさにそのタイプだ。 そして、実際によく道を聞かれる。 私に頼ってくる人のほとんどが、高齢者または外国人だ。 外国人はほぼ全員、英語で話しかけてくる。 そのくせ彼らは、私の英語の説明を素直に受け入れようとしない。 困った顔をしたり、別の人に聞き直したりするのだ。 チッ、理解力のないヤツらめ。 ……と思って生きてきたが、ほんのわずかなが
幼児の頃から、お姫さま系のおとぎ話には入り込めなかった。 ヒラヒラのドレスや巻き毛にリボン、みたいなファッションへの憧れがなかったせいかもしれない。 絵本の中の10頭身の王子様より加藤茶をかっこいいと思っていたせいかもしれない。 私の美的感覚には、何か生まれつきの問題があるのだろうか。 そんなわけでおとぎ話を比較的冷静に読んでいた私は、「ピンチに陥ったお姫さまを王子さまが救い出し、ふたりは結婚してめでたしめでたし」という終わり方には常に不満を覚えていた。 笑える要素をすべ
鮭が高いなあ。 今は旬ではないけれど、高いのは季節のせいだけじゃない気がする。 たしか、去年の秋だって高かった。 毎年、秋にはすじこを買い込んでしょうゆ漬けを作っている。 でも去年は、「もうちょっと安くなるかも」と様子を見ているうちにすじこの季節が終わってしまったっけ。 鮭が高い理由としてよく言われるのは、海外での需要が増えていること&乱獲の影響で……というやつだ。 でも、本当にそれだけかなあ。 なんだか、別の理由もあるような気がしてならない。 川で生まれた鮭は、川を
『ブレーメンの音楽隊』ってお話がありますが、 上のタイトルは、決してうっかり間違えたわけではありません。 柴犬ネタなので、下のブログに書きました。 くだらなくてすみません、本当に。
「今でしょ!」のH先生が「死馬の骨を買う」という格言の解説をしていた。 「損して得とれ」みたいなこと? と思っていたけれど、実際にこの言葉を使ったことがないため、意味をちゃんと調べたこともない。 せっかくなので、H先生に教えてもらうことにした。 この格言は、中国の故事から生まれたものなのだそうだ。 あるところに名馬がいると聞き、王が使いの者に大金をもたせて買いにいかせる。 ところがこの使者は、「なんかー、その馬ー、死んじゃってたんでー」と予算の半額を投じて、死んだ馬の骨を
読んでいた本に、こんな場面があった。 武士が庭の池で泳いでいる錦鯉をエイ! と杖で突き刺し、宙にかかげる。 ……刀ではなく杖で、だ。 この武士は足を痛めているため、杖をついている。 使ったのは、その杖だ。 さらにごていねいに、「杖の先は特別にとがっているわけではない」と続いている。 この一文は、私のように「またまた~。このホラ吹き侍が!」などと突っ込みたがる読者への牽制だろう。 鍛え抜いた武士の腕前はこれほどすごいんですよ、と言いたいわけだ。 泳いでいる魚を杖で突き刺す。
赤いずきんをかぶった女の子が「赤ずきん」なら、 かぼちゃの形のずきんをかぶった柴犬は「かぼずきん」。 世界むかシバなし・かぼずきん。 犬ネタなので、こちら ↓ に書きました。