#92 一人の覚悟
『者の見方が変わる座右の寓話』
「ひばりの引っ越し」を紹介します。
春先になって、ひばりが麦畑に巣をつくった。初夏のある日のこと、大勢の村人たちが麦畑にやってきて、「そろそろ、みんなで麦を刈らなきゃいかんなあ」と話していた。
これを耳にしたひばりの子どもが「お母さん、麦刈りが始まるから、引っ越しをしようよ」と言った。
しかし、ひばりのお母さんは「まだ、大丈夫よ」と答えて平然としていた。
数日たってから、三人の村人が麦畑にやってきて、「ぼちぼち、麦を刈らなきゃいかんなあ」と話していた。
これを耳にしたひばりの子どもは「お母さん、もうダメだよ! 麦刈りが始まってしまうよ」と叫んだ。
しかし、ひばりのお母さんは「まだ、大丈夫よ」ととり合わなかった。
さらに数日後、今度は村人が一人だけでやってきて「じゃあ、ぼちぼちやるか」とつぶやいた。
そこではじめて、ひばりのお母さんは子どもに言った。「さあ、逃げましょう」。
「みんなでやろう」という掛け声は当てにならない。
「他の人はともかくとして、自分一人でもやる」。そういう気持ちが誰かから出てきたときにこそ現場、チームは動きはじめる。
リンゲルマン効果。別名「社会的手抜き」とも呼ばれ、共同作業の際に無意識に手を抜いてしまう現象。
1人で作業するときの力を100%とした場合
・2人の場合は93%
・3人の場合は85%
・4人の場合は77%
・5人の場合は70%
要するに「覚悟」の問題。
ある有名企業の人事の方と話をした時、
「一人で会社は変わるから」とおっしゃっていた。まさに今回の話と同じこと。
一人でもやる。何が何でもやる!
しかし、一人は怖いし、勇気もいる。
大丈夫、『論語』にも以下のように書かれています。
「徳は孤ならず、必ず隣有り」と。