柴助の夢日記『柴日記』
バスで田舎のキャンプ場に向かう。
仲間の1人は仲違いで来れなくなっていた。
海辺のキャンプ場に着くと、すでに大きなピンク電話のシートが敷いてあり、先客がいるようだった。
遠くに数名の女子達がみえる。
せっかくだからお近づきになろう、と友達はほとんど海の方に行ってしまったが、僕は海パンが見つからない。
海パンを探している間に、友達の1人がお巡りさん(と思いきやその地域のパトロール?のおじさん連中)にバイク駐禁を注意されていた。おじさんと口論になっていた。なぜか僕もその口論に加勢していた。
その友達も海に行ってしまい、僕1人で海パンを探していると、見知らぬ女の子がひとり、近づいてきた。
華奢でロングヘアーの小さめの子だった。
その子はいきなり僕に覆い被さってきた。
何のことはない、その子は人間を食べる種族だった。
襲われるや否や、陰陽師が現れその女の子に弓矢を放った。弓矢は外れた。陰陽師は僕の様子を見ると、何か言ってその場を立ち去った。
僕はその子に名前を聞いた。
その子の種族のこととか色々聞いたと思う。その話の流れで「はるかちゃんは……」と言いかけたが、はるかちゃんじゃない気がした。僕、10秒くらいで人の名前忘れてた。
「はるかちゃん?もう名前忘れてるじゃない。」
「まあ、人間にとって名前ってそんなに意味を持たないんだよ。」
「そうなの?」
我ながらスッと扱いやすい嘘が吐けたと思った。
「だって名前は人を縛るから、呪いなんだよ。」
どこかで聞いたようなことを僕は言う。
「そうね、私もそう思う。色んな名前を使ってきたから。『はるか』って名前の時もあったわよ。でもその度にその名前が自分に不釣り合いだってことを思い知るだけなのよね。私を人間として育ててくれようとしたお母さんは私を天才の『天ちゃん』って呼んでたわ。でも友達からはぜんぜん天才じゃないって言われて、自分でも自分は天才じゃないって思い続けるだけの名前だった。」
僕はそうだよねって顔で話を聞いていた。
僕は海パン探しを再開した。穴の空いた海パンとか海パンのようなパンツとか、ダミーがいっぱいあった。
やっと見つけた海パンは学校の授業で履いたようなピチピチ黒水着だった。
海に行こうと思ったが、やっぱり嫌だった。その子から離れたくなかった。
僕のいない間にその子が僕の友達を食べてしまわないか心配だった。
友達が死ぬことより、その女の子がまた人を食べてしまうのが嫌だった。
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