シェフズキッチンin東京vol.50「瓢亭×ナベノ-イズム」
2023年5月29日(月)。今日は過去2回お邪魔していずれもここでしか出会えない味・お料理に感動した料理マスターズ倶楽部のシェフズキッチンへ。
瓢亭さんは朝粥で、ナベノ-イムズさんはフランスレストランウィークでお邪魔して、それぞれ感動したお店。かつ日本料理×フレンチというのも全く想像がつかない。案内を見た瞬間に申し込みを決めました。
会場はいつものアンジェロコートで
普段は結婚式場として利用されている目白のアンジェロコートさんで。
事前にメニューは公開されなかったので、席について初めて確認。
最初に京都・瓢亭15代目当主の髙橋義弘シェフと、ナベノ-イズムの渡辺雄一郎シェフがそれぞれご挨拶。
今回は日本料理・フランス料理それぞれの技法で同じ食材を調理します、とのこと。その食材は玉子と鱸(スズキ)。
玉子は瓢亭玉子があまりに有名だからでしょうけれど、渡辺シェフはどのようにされるのか。期待が高まります。
日本料理は冷菜で、フランス料理は温菜で、とのことで温度の違いも含めてゲスト側が楽しめる工夫がされていることにも脱帽。
瓢亭
瓢亭玉子・穴子粽寿司・小鮎揚げ焼き・あさかぜ胡瓜
最初は瓢亭さんから。
瓢亭玉子はお肉にも使う鶏さんの為、初産卵に近いもの450年間使用されているとのことで、小さいながらも濃く味わいの詰まった玉子。朝粥の時と同じくシンプルながらも身体に沁みる味わいです。
あさかぜ胡瓜は茗荷、おかひじきと和えて爽やかに。
小鮎の上には(写真では見えづらいですが)花山椒。少し見慣れない形なのは雌花が使われているからだそうです。面白い。
小鮎はさっと焼いた後に、パリッと揚げてこの動きのある形になっているそうです。さくっと、肝の苦みをしっかり感じる一品です。
5月らしい粽の中には上品な味わいの穴子寿司が。
じゅんさい・豆腐クリーム
運ばれてきてビックリ。日本料理なのにグラス!
上には豆乳クリーム、下にはトマトとじゅんさい。豆乳クリームのほの甘い感じとトマトの酸味、そこにじゅんさいがつるっと、まさに初夏の一皿。
小吸物・蓬豆腐
今回、人数が多いこともあり、アンジェロコートのお皿をお借りすることになり、お皿やお椀を持ち込めず、洋皿に盛りつけることになったとのこと。
口当たりが変わるので…ということで通常吸い口に乗る柚子はなんと柚子オイルで。御出汁は利尻昆布とまぐろ節で取ったもので、中にはうるいが。
一口頂き、思わず一息付いてしまうような優しい御出汁は京都ならではだなぁ。
ナベノ-イズム
ドイツケルン産ホワイトアスパラガス ア・ラ・ミニッツでポッシェし、奥井海生堂白とろろをまとわせて
アオリイカのマリネ、リーフマウンテンエッグを64℃でウフモレに OSIMICトマトのコンディモンを添え ソース・アロマート オランジェ
立派なアスパラはとろろと金箔をまとってちょっとオシャレに。少しピリ辛のソースアロマートに甘酸っぱいオランジェ。そこにこのいわゆる半熟というかとろーりの卵が絡んで本当に美味しい…!(下にはナッツと浅草の種亀さんの最中が)
アスパラもアオリイカも美味しいのですが、このお皿は全てを繋ぐ間違いなくこの64℃のウフモレ。確かに卵のお皿だ。感動。
瓢亭
鱸のお造り トマト麹醤油 アサリジュレ 山椒オイル 黄身酢 紅芋酢ジュレ
普段は明石の鯛を使われているそうですが、この時期は少し身が瘦せてしまうとのことで活〆にした明石の鱸にしました、とのこと。
本当に感動的に美味しいお刺身でした。トマト麹醤油でマリネされ、噛めば噛むほど甘みと旨味を感じるぷりっとしっかりした鱸。
上のアサリのジュレはアサリの旨味がギュッと詰まっていて、スズキと一緒に食べると口の中に海が広がります。そこに洋皿なので…と山椒オイルでマリネした河内晩柑。これがまた爽やかで美味しい。
手前の山菜は失念してしまいましたが、爽やかな黄身酢と紅芋ジュレが見目にもオシャレで。高橋シェフの引き出しの多さを見た瞬間でした。
ナベノ-イズム
福井県敦賀産スズキの低温調理 江戸前ガリとフヌイユのマリネ ルビーグレープフルーツのコンディモン シャンピニオンデュクセルとのハーモニー
進化系ブール・ブラン シャンパーニュ・ロゼとグレープフルーツの香りと共に
ナベノ-イズムさんは鱸を低温調理で。この火入れが素晴らしく、中までふんわり仕上がっていてさすがとしか言いようがなく。そして何より感動したのはまたもやパン泥棒のこの「進化系ブールブラン」。普通、バターソースは少しもったりとしてしまうところをグレープフルーツを感じる酸味のあるソースで本当に美味しかったです。
瓢亭×ナベノ-イズム
和牛ほほ肉を純米酒、エルブ・ド・プロヴァンスと共にマリネしやわらかくブリゼ タプナードと大徳寺納豆のジュをあしらい
瓢亭作:旬の京野菜のバリエテとのデュオ
お肉のお皿は協働で。ほろほろのほほ肉にこれまたパン泥棒のタプナード(京の要素として大徳寺納豆が入っているのがニクい)に見目にも美しい緑のパセリのオイル。
添え野菜は賀茂茄子に両面包丁を入れて油を吸いすぎないように焼いたものに白みそを、上には万願寺唐辛子。右にはいんげんをジェノベーゼならぬ木の芽ーゼに。お肉に負けない本気の添え野菜がまたいい。これほど添え野菜がただの添え野菜ではないお肉料理があるだろうか(いやない)。大満足でした。
ナベノ-イズム
浅草木村屋 人形焼きにエスプレッソの香りを纏わせ濃厚なブラマンジェ、軽やかなマスカルポーネのムースを重ねティラミス仕立てに
軽やかに頂けてしまう一皿。餡子なしの人形焼きがまた良い。ナベノ-イズムさんはレストランのある浅草の要素を色々なところに入れてくださるのが本当に素敵で好きです。
瓢亭
白小豆のアイスクリーム、ビワの生姜コンポート、花柚子酵素シロップ漬
白小豆のアイスは食感のざらつきをなくすためにメレンゲを入れたとのこと。高橋シェフから「パコジェット」というワードが出てきたときにはちょっとニヤニヤしてしまいました。本当になめらかで白小豆の味をしっかり感じました。ビワには身体が冷えすぎないようにとの配慮を感じてしまう生姜を(瓢亭の朝粥は温かい梅湯から始まります)。
ばらばらに紹介しましたが、実際にはこのように一度に運ばれてきました。
小菓子
まさか小菓子があると思わず、嬉しい想定外。
黒糖と何か(ワインが入りすぎて忘れた…)のカヌレ、ゴマのマカロンに七味を。手前右側は瓢亭さんから松風のようなダッグワーズような少しもちっとした食感の小菓子。最後まで幸せな時間が続きました。
玉子と鱸を軸にした今回のコラボレーション。毎回のシェフズキッチンの度に思っていますが奇跡の瞬間に立ち会えた気がします。
同じ素材を全く違う形で料理をして頂き、それを比較して頂け、しかも両方とも最高に美味しいというとても贅沢な機会でした。特に瓢亭さんは洋皿でも負けない調理法を使われながらも、しっかりとベースは日本料理。ナベノ-イズムさんは素材の味を出しながらもソースがパン泥棒になるくらい素晴らしく、全てのお皿に終始感動しました。本当に今日来られて良かった…!
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