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【洋画】プライベート・ライアン(1998)

監督: スティーブン・スピルバーグ
出演: トム・ハンクス、マット・デイモン、トム・サイズモアなど
上映時間: 2時間50分

巨匠スピルバーグ監督の戦争映画「プライベート・ライアン」、二度目の鑑賞です。
題名の「プライベート」とは「二等兵」という意味で、これが作中で非常に大きな意味合いを持っています。

ストーリーは第二次世界大戦時、行方不明だった二等兵・ライアン(マット・デイモン)を、陸軍参謀総長の命令により、ミラー大尉(トム・ハンクス)率いる8人の部隊が救出に向かうという話。

なぜ階級の低い二等兵をそれだけ大掛かりで助けに行くのかというと、「ソウル・サバイバー・ポリシー」という制度が関係しているそうです。
1942年、巡洋艦に乗り込んだサリヴァン5兄弟が日本の戦艦の攻撃により全員死亡したことから、1家族の子孫を残すために、兄弟は同じ部隊に配置せず、他の兄弟が全員戦死した場合、最後の一人は生存して帰還させなければいけないというもの。

制度自体は1948年に成立したそうですが、当時からこの事件のことが軍内で念頭に置かれていたそうです。この階級の低いたった一人の二等兵を、位の高い大尉が助けに行くというのが話の肝になっています。

舞台はフランス。フランスは国土を枢軸国側のドイツに占領されており、アメリカを中心とした連合国側が、フランスを取り戻すために行った「ノルマンディー上陸作戦」の一部「オマハ・ビーチ」から話はスタートします。

このオマハ・ビーチの迫力よ!!圧巻です。
序盤は戦争シーンを客観ではなく、兵士目線で撮るというディレクション。実際にカメラに血しぶきが付いたり、水中で溺れたり、他の兵士が撃たれたり、戦争を実際に体験しているかのようです。

調べたところによるとこのシーンだけわざと画質を落としているとのこと。確かにそれによってより兵士の視界というのをリアルに再現しています。さすがスピルバーグです。恐るべし。

辛くも作戦成功し、その後上官命令によりライアンを助けに行く一行。その道中で各々のヒストリーが語られます。
特に衛生兵ウェイドの話に胸を打たれました。

母親が夜勤のために生活リズムが合わず、なかなか話すことができなかった。いつも母と話すために頑張って起きていようとするが、その度寝てしまっていた。
ただ一度母親が早く帰ってきたときがあった。「今日はどんな一日だった?」などといった話を俺とするために。その時俺は寝たふりをした・・・俺はバカだった。

目に涙を浮かべながらこの話をするウェイドに、目頭が熱くなってしまいました。すごく、すごくその気持ち分かります。
その後悔を伝えきれずに死んでいく無念は、とても計り知れません。
しかしウェイドは道中で戦死してしまいます。

彼は死ぬ直前、既に打たれたモルヒネを、もう一度打つように懇願します。
モルヒネは非常に強力な鎮痛剤で、適量であれば回復の手助けになりますが、過度の接種は死へと直結します。
自分の死を悟ったウェイドは、せめて楽に死ねるようにモルヒネをもう一度打つように言ったのですね。

ラストも素晴らしかったです。ミラー大尉がライアンにかけた言葉、ライアンが妻に問いかけるシーン。この映画のメッセージがラストシーンに詰まっています。

後ろでライアンが経験したことなど全く知らない孫娘たちがいるのも、素晴らしい演出。要はあれが今の僕たちで、我々が平和に生きていられるのは、ミラー大尉やライアンのような人たちのお陰なんですね。

キャストで気になったのはウェイド役のジョヴァンニ・リビシ。アメリカの人気シットコム「フレンズ」でフィービーの弟役を演じていた人です!あとスタンリー役のアダム・ゴールドバーグも「フレンズ」でチャンドラーのルームメイトとしてスポット出演していました。

二人共強烈なキャラクターで、めちゃくちゃ面白かったので、見た瞬間に分かりました!やはりどちらとも腕のある俳優です。

「プライベート・ライアン」はスピルバーグの革新的な撮影技法(特に前半)と、素晴らしいキャスト&ストーリーによって紡がれた、戦争映画の傑作です。

ただ見る側にかなり知識がいるなーと思いました。第二次世界大戦やノルマンディー上陸作戦や、ソウル・サバイバー・ポリシーやモルヒネのことも。
上記をある程度理解していないと、話に置いていかれる可能性もあります。ていうか前回観たときの僕は多分そうでした(笑)。

できれば当時のことを予習してから観るのがオススメです!

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