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【邦画】青天の霹靂(2014)

監督:劇団ひとり
出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとりなど
上映時間:1時間36分

劇団ひとり監督作品「青天の霹靂」観ました。2度目の鑑賞。ただ前回観たのはかなり昔で、内容はそこまで覚えていませんでしたが、めちゃくちゃ泣いた記憶があります。

35歳の売れないマジシャンの轟晴夫(大泉洋)は、自らの惨めさに絶望しており、そんな自分を育てた家庭環境を憎んでいた。父親は元・マジシャンで、晴夫が生まれた後にはラブホテルで働いていた。父親には高校卒業後に家を出て以降会っていない。母親は晴夫が生まれてすぐに夫が他所で女を作ったことが原因で、家を飛び出していた。なので晴夫は母親に会ったことがない。

ある日、警察から晴夫の父親の正太郎が亡くなったので遺品を取りに来てほしいと連絡が来る。青空の下河川敷で遺品を眺めていると、突然雷に打たれ晴夫は昭和48年(1973年)にタイムスリップする。

晴夫は一人でマジックをしているところを子供に見つかり、浅草の演芸場に連れていかれる。そこでまだ当時は流行していなかったスプーン曲げを披露したところ支配人に気に入ってもらい、インド出身のペペというキャラクターでマジシャンとして働くことに。喋りの苦手な晴夫に支配人は悦子(柴咲コウ)という女性のアシスタントをつける。晴夫のスプーン曲げは舞台で大きな反響を呼び、一気に人気者になる。

晴夫は悦子に惚れるが、彼女はチンというマジシャンと結婚しており、彼との子供を身籠っていた。そしてチンの実名は轟正太郎(劇団ひとり)で実の晴夫の父親、悦子は母親であることが分かる。ペペはチンとコンビを組まされることになり、二人の芸は徐々に人気を博していく。

今回もめっちゃ泣かされました。もうしばらく観たくないぐらい(笑)。劇団ひとり監督は人間の繊細な心の動きを、本当に見事に表現します。そして売れないマジシャンというチョイスもいいですね~。芸人もそうなのですが、マジシャンって物質的に世の中に貢献している職業じゃないんです。英名でのエンターテイナーというのは、直訳すると「間を持たす人」という意味。その間を持たすだけの仕事に命を懸けているのが、最高にカッコ悪くて大好きです。

しかも晴夫の不器用で世渡り下手な姿は、本当に共感を誘います。もう途中から自分にしか見えなくなってきます。でもこれは決して僕に限ったことではなく、自分に劣等感を持ったことのある人間は誰でも共感できるものだと思います。そのキャラクター設定も見事。

タイムスリップした先で自分の母親に会うという設定も、分かりきってはいるのですが泣いてしまいます。特に「辻褄会わねえじゃねえか」というセリフと、悦子にすべてを明かすシーンは、何回観ても泣くことだろうと思います。感情の衝突がこれでもかというほどに見えて取ります。

大泉洋さんは演技もそうですが、この役柄にピッタリです。ダサくてカッコいいキャラクターが本当に似合います。柴咲コウさんは絶妙な影がある感じというか、幸薄い感じというか(失礼)、これまた役柄にピッタリのキャスティングです。彼女だからこそあれだけ泣けるのだと思います。

「青天の霹靂」は浅草の売れないマジシャンがタイムスリップし、自分の両親の過去を見るという作品。大泉洋さんと柴咲コウさんの演技が見事で、とにかく泣けます。

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