【洋画】エデンの東(1955)
監督:エリア・カザン
出演:ジェームズ・ディーン、ジュリー・ハリス、レイモンド・マッセイ、ジョー・ヴァン・フリートなど
上映時間:1時間55分
「エデンの東」鑑賞しました。ジェームズ・ディーンの初主演作です。
1917年のアメリカ合衆国、カリフォルニア州のサリナスという小さな町。そこに住むトラスク家は、父アダム(レイモンド・マッセイ)、長男キャル(ジェームズ・ディーン)、次男アーロン(リチャード・タヴァロス)の三人家族。母親はすでに他界している。父親は信心深く真面目な性格で、規律正しい息子のアーロンを愛するが、奔放なキャロのことはあまり好んでいない様子。
ある日キャルはひとりで貨物列車に乗ってモントレーの港町に行き、いかがわしい酒場で働くケイトという中年女性を尾行する。彼は彼女が実の母親であるという噂を聞きつけていた。確証は得られなかったものの、家に帰って父親に母親のことを問いただす。しかし父は母親は他界しているとの一点張り。後にキャロは父親の旧友から結婚時の写真を見せてもらい、モントレーの娼婦が自分の母親であることを確信する。
次男のアーロンはアブラ(ジュリー・ハリス)という女性と交際している。アブラは最初無口で何を考えているかわからない兄・キャロを怖がっていた。ある時キャロは彼女に「自分は父親に愛されていないのではないか」という不安を打ち明ける。彼女も同じ悩みを抱えていることをキャロに明かし、二人の心の距離が近づいていく。
作家の哲学を感じられる興味深い作品です。この作品の大きなテーマのひとつが「何が善で何が悪か?」ということ。一般的な見方だと、自分の正しいと思うことに従順に生きる父親とアーロンは「善」で、よく道を踏み外すキャロは「悪」です。これは父親もキャロも同じことを言っています。
でも「善」が必ずしも正しくはないんですね。それに関してはアブラがとてもいいことを言っています。「アーロンは真面目に私を愛してくれているけど、私は愛ってそんなもんじゃないと思うの。もっと何か突き破るようなものが感じられるのが本当の愛だと思う」。枠にはまったことしかできない、これが「善」の欠点です。
僕はこの作品を観ていて、小学校時代を思い出しました。先生の言うことを聞く通称「良い子」は、規律は守るけど決まりきったことしかできません。逆に「悪い子」は枠にとらわれないために、他の人が思いつかない発想や行動がとれます。勿論互いに長短はあるものの、大人になった時に社会に適応できるのは、どちらかというと後者なのではないかなと。
「良い子」のもう一つの決定的な短所は、対応力のなさです。世の中では予測不可能なことが頻繁に起こります。そのようなときに型通りの対処をしていても通用しませんし、型通りに苦しんでしまいます。この作品の結末はそれをよく見せています。
僕は圧倒的に「悪い子」でした。先生の言うことなんてまるで聞きませんでしたし、「お前らの言うことなんか聞いてたら、お前らみたいになっちまうだろ」とか本気で思っていました(今も思ってる)。良いか悪いのかはわかりませんが、結果的にはインドで芸人・俳優になるという、型にはまらない生き方をしています。
ただし「悪い子」代表としてひとつ意見したいのが、ジェームズ・ディーンが美男子すぎるということ!感情移入できない!!あんなカッコよかったら女子にモテまくりで、人生に不満なんかないだろ!!あんなイケメンは悪い子になんかならない!!「悪い子」はブサイクがなるもんだ!!
でも結末は良かった!すべてが成ってほしいように成っているし、直接的に表現しないのも芸術的。結末はこの作品の伝えたいことが詰まっていて、それには大いに納得しました!!
「エデンの東」は「善・悪とは何か?」という問いと、「愛情」について考えさせられる作品。エンディングは個人的に大納得でした!主人公のジェームズ・ディーンがカッコよすぎることだけが不満です(笑)