【洋画】アメリカン・ヒストリーX(1998)
監督:トニー・ケイ
出演:エドワード・ノートン、エドワード・ファーロングなど
上映時間:1時間59分
1998年製作「アメリカン・ヒストリーX」二度目の鑑賞。アメリカに根強く残る人種差別問題を取り扱った名作です。前回鑑賞時も印象的でとても好きな映画でした。
主人公のデレク(エドワード・ノートン)は白人至上主義(ネオナチ)の熱狂的な信者であった。彼は自宅に車泥棒ににやってきた黒人男性2人を銃で殺害し、刑務所で3年間服役することに。彼が服役している間、弟のダニー(エドワード・ファーロング)もネオナチに傾倒していき、かつての兄を彷彿とさせるほどになった。
3年後デレクが出所し帰ってくる。兄を崇拝してやまないダニーは彼の帰還を喜ぶものの、彼の様子は以前とは違っていた。ネオナチの象徴であるスキンヘッドをやめて髪を伸ばし、人格も穏やかになっていた。デレクは組織に行き彼らと正式に決別する。
変わり果てた兄の姿に激高するダニー。するとデレクは刑務所内での出来事をダニーに語る。
ネオナチや人種差別、グロシーンのオンパレードなどダークで難解な物語かと思いきや、メッセージ性は至ってシンプルで伝わりやすい。この辺が前回観た時に僕が好きだった要素だと思います。メッセージは作中で何度も登場人物の口から発されていますし、最後のダニーのセリフがより簡潔に表しています。
グロシーンについては相当なもの。目を覆いたくなるようなシーンが2か所ほどあります。でもこのようなシーンを敢えて入れることで作品のインパクトを強くし、より視聴者の心に残るようになっています。それにしても思い返すだけで身の毛がよだつほどです。
アメリカの人種差別については、ニュースなどでは聞くけど実情はわかっていないのが正直なところ。おそらく相当根が深いものだと思われます。だからこそこのようにインパクトが強くメッセージ性が強い作品が製作されたのかと。この辺は宗教間対立が激しいインドでも十分に感じられるポイントなので、すんなりと呑み込めましたしメッセージも響きます。
というか世界中で人種差別がない国は殆どありません。日本は基本的に同一民族で構成されており人種差別はほぼないのかと思っていましたが、インド人の友人は「日本は人種差別がひどいと聞くから行きたくない」と言います。確かに日本人同士の差別はないものの、その分他人種に対する嫌悪感は他国より強いのかも。島国であり他人種に慣れていない日本ならではの欠点です。僕たちにとっても決して他人事ではない話だと肝に銘じておかなければなりません。
デレクを演じるエドワード・ノートンは流石の演技。ファイトクラブなどダークで狂ったな役がバッチリはまります。役作りも相当なもので、私生活に影響が出そうで心配になるほど(笑)。ほかの作品も見てみたいと思いました。
演出も素晴らしい。過去のストーリーは白黒で見せて、現在をカラーで見せる。過去がダークなだけにより説得力のある構図にもなっています。
セスが車内で歌う「White Man Marches on」は滑稽すぎで笑っちゃいました。日本ではヨドバシカメラのテーマ曲としてよく聴くアレです。
母親のユダヤ系の愛人を演じているのはエリオット・グールド。「フレンズ」でロス&モニカの父親役の人です。ゲラー家もユダヤ系なので、フレンズファンにとっては分かりやすい人選だと(笑)
「アメリカン・ヒストリーX」は世界中の人種差別問題に強烈な一石を投じる作品。アメリカの人種差別の実情をもっと知らないといけないとも思えるし、日本も決して蚊帳の外ではないなと。エドワード・ノートンの演技力にも注目!