子どもからの真っ当な質問に屁理屈で応戦、結果、真っ当に玉砕された夏の思い出
「ちょっと!わたしたち、子どもだけで泳いでるんだけど!!」
小6の長女が太陽を背に仁王立ちしていた。母親である私は、波打ち際に体を横たえ一歩も動けないでいた。まるで浮き輪をしたトドであった。
4年前の夏のこと。長女と小3長男と私、3人であこがれの沖縄の海を思いきり楽しむ、はずが!海に入って10分も経たないうちに、私は気持ちが悪くなってしまった。
「ママ、ちょっと休んでくるわ・・・。」
と言い残し砂浜を目指した。長女が「信じられない」という顔をしたが、悪いがかまっていられなかった。
子どもたちを泳がせたままというのはどうかと思ったが、幸いまったくといっていいほど波がなく、前方と左右にはネットのような境界が張られていて、とても静かで穏やかなプールのようなビーチであった。家族連れも多く監視員さんもいる。
砂浜で目をとじ回復をじっと待つ、ときどき目を開けては子どもたちを確認した。その間、ビーチではアナウンスが頻繁に流れたいた。
・子どもだけで泳がず、必ず大人がついていること。
・安全のために設けている境界のネットには、乗ったり、足をかけたりしないこと。
ときどき目を開けて確認する長男、おいおい、さっきからずーっと境界のネットに足をかけたり、ぶら下がったり・・・おまえのことだよ!
今すぐ行って注意してやりたいが、気持ち悪さに加え、めまいもしてきて動けない。どうしようと思っているうちに、冒頭の、海からあがってきた娘の言葉である。
「ちょっと、わたしたち、子どもだけで泳いでるんだけど!!」
おっしゃる通り。でも今の私にはどうすることもできない。しぼりだした答えが
「と、となりで泳いでるおじさんと、家族です、みたいにふるまえば、大丈夫じゃない?」
「『知らない大人についていくな』って、いつもうるさいの誰!!」
「す、すみません・・・」
その後、私はなんとか体調をもちなおし、しかしもう海には入らず、更衣室に水着を忘れて帰ったのであった。
ちなみにダンナはその日朝から体調が悪く、駐車場にとめた車の中で何も知らずに爆睡していた。
「ちょっと、わたし、娘に怒られたんですけど!!」