迷鑑定バディハイキング ②
迷鑑定バディハイキング(MB’)というサービスをご存知だろうか。ハイキングの最中に迷子になったとする。MB’の出番だ。交番でたずねたらいいじゃんと思うだろうが、迷った原因を細かく分析するのがこのサービスだ。ペース配分に無理があった。目標物を見落とした。計画が無謀だった。ムジナに化かされた。それで問題が解決するのかって? これは互いに責任を押しつけ合うためのサービスだ。山奥にレッカー車や保険屋がすぐ来ないように鑑定人が現れるわけでない。アプリ頼みだ。
「お兄ちゃん、お菓子の家食べようと言ったのあたしよ」
「鳥に食われそうなパン屑を撒いた俺が悪かった」
MB’が様子を伺っている。偽善者、と。
「とにかく腹が減った。まず不要アプリ削除して食いもんさがそうぜ」
山奥に住み着いた二人は包丁を研ぎながら迷い込んでくる旅人に期待した。
「ごめんください」
『迷い人ちゃうで! ガサ入れや!』
MB’は消される直前に迷うことなく絶叫した。
410文字
本来なら相手方のMB’が道迷いのアラートを発するはずですが
たらはかに様の裏お題に参加しています。