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告白水平線 ②

 告白海岸はすでにスマホやカメラを構えた人々でごった返していた。
「夏休みの自由研究」「海坊主」で検索するとこのエリアは必ず上位に入っている。水平線に丸い頭がチラリと現れるというのだ。
「見えたか?」声をかけるが息子の反応は芳しくない。
「まずはこっちかな」バインダーに挟んだプリントに記入する。
『僕は将来ドラマ制作に携りたいと考えていましたが今は違います。』
えっ何で?
「見るからに大変だもん野次馬追い払ったりエキストラ集めたり」
あの人だかりは撮影なのか?
「パパ知らなかったの? ここ告白の名所だからね、ロケ地だよ」

あらためて「告白」で検索してみるとなぜか「告白 監視」のサジェストが出てきた。
「大切なお子様の告白を見守ってあげませんか」
 そんな見出しで沖合4キロのギリギリの水平線上でチャーター潜水艦に乗り込んでこの海岸を潜望鏡で監視するという。シェア料金だと相方のウォッチャーや元彼元カノ探偵ただのストーカーと相乗りだが。

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たらはかに様のお題に参加しています。

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