小判食え ②
一両さんが見ているとも知らず和尚様は床下から壺を取り出しました。檀家さんの納めた小判でも数えるつもりでしょうか。あれれ、金色の包みを剥がすと中から茶色いモノが出てきましたよ。なんだか甘い香りがします。和尚様はそれをパクりと口に放り込みました。あれはいったい何でしょう?
「そりゃきっと、和尚さんと仲良しの後家さん愛用のしゃあねLの小判だな、オレは太鼓判押す!」
「そんなにいい香りなら俺もぜひ試したい!」仲間の小僧どもの意見ですが、一両さんはたぶん違う、と思いました。あれはゴダイバ天皇の金塊ではないでしょうか。だとしたらネコそぎ子万々歳です。
帰宅した和尚様は怖い顔でこう言いました。「コレはシュレディンガーのチョコと言ってだな、子どもが食っていい物ではないのだ」
ですが時すでに遅しです。壺の中は空っぽ、いえ底に何やらキラキラが。信者さんがチョコの下に敷いた山吹色でした。
「これは食えない」
小判のゆくえはkoban区へ。
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たらはかに様の裏お題に参加しています。