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みんなで動かない ②

「例えば出席簿は男子が先で女子が後なのはなぜかってよく問題になるじゃない。時代にそぐわないやり方だからよね」
こういう面倒なことを言いだすのはたいていKだ。そばにいたH姉は黙ってうなずく。おとなしいのでいるのかいないのかわからないくらいだ。
「要するにあんたは言いたいんでしょ、あたしたちの順番がいつもおんなじ。自分はいつもトップバッターで呼ばれるのも最初で緊張しちゃう。たまにはシャッフルするのが公平だと思う、って。また同じ話よね。でも五十音順の何が悪いの。身長順とか成績順の問題に比べたら大したもんじゃないわ」一気に反論するのはいつものようにH妹だ。
そこにYが加わり
「まあまあ、確かに私たちカルテットはこの順番だからいいのよ。四人きりなんだから仲良くやりましょうよ。私だって本当は毎回しんがりは嫌なの。そうだわたまにはそろって『私みたいに』やってみない?」
風野林野火野の三人は軍旗のなかで山野のように動きを止めた。

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