三分豚足 ②
おっ、あの二人は母娘か? いや違うな義母と息子の嫁だ。仮面をつけてにこやかにお買い物だ。
「今夜のおかずお肉でいいですかお義母様」
「何だってかまいませんよオホホ」
(ウかんむりに豕と書いて「家」。若い人はいいわね、オトーさんたら昔あたしの事「座敷豚」なんて言ったのよ)
(あら立派なお座敷があってグラマラスな専業主婦の奥様を持つ殿方ならではの台詞ですわ)(それであの子のことは豚息。足も速くて長くて太くなんかないのにねえ)
(アラそこは親バカが過ぎません?)
(カチン)女偏に家で嫁? でもウかんむりは女にはかかっていませんからね、ふんだ、このヨソもん)
おいおいそんな無言のやりとり3分間交わす?豚しか買わずに? たまにはウかんむりにビーフで座敷牢にも目を向けておくれよ半値だぜ、ねえ、オネーさんたち!
だが二人はそんな牛スジの声なんか聞こえない様子でセール品の豚足をカゴに入れて和気藹々とそのまま立ち去った。
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たらはかに様の裏お題に参加しています。