同意と共感のたいせつさ。と、むずかしさ。
会話ってむずかしい。
もう、あふれんばかりに日々あつかわれているネタ「男女の会話のすれ違い」。
よくあるパターンのひとつに「別に答えを求めてないんだけど」がある。
たとえば奥さんから「きょう仕事でさ~、〇〇が△△だったから超つかれた~」と言われた場合。
「それは〇〇を◇◇にすれば解決するんじゃない?そうだなあ、しかも■■にすれば、もっと良くなるんじゃない?」
なんて返してはいけない。
絶対に。そう、絶対にだ。
もうこんなこと、昭和の末期くらいからあまたの先人がアドバイスをくれている。
ここはまちがいなく「え~それは超つかれるね~!」が100%安心・安全のコミュニケーションだ。
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Aという感情には、同じAという感情で返すクセをつける。
やすらかなコミュニケーションをとりたいなら、まず相手の感情を受け取ったことを表明し、それから次の話題へうつる。
相手から始まった会話は、なによりまず相手のものだから。
たとえば、女性社員と話しているとき。
「きのう食べたパン、めちゃくちゃおいしかったんですよ~」
「どこのパン?」
「駅前のパン屋なんですけど~、パンにじゃがいもが入ってて~」
「え~おいしそう~!」
まず「おいしい」という感情を返してあげることが大切。
しかし、うっかり気を抜くとこんな展開になることがある。
「きのう食べたパン、めちゃくちゃおいしかったんですよ~」
「どこのパン?」
「駅前のパン屋なんですけど~」
「へー、オレのこないだ行ったパン屋はー」
「あー、はいー・・・」
男はね、特にね「教えたい」って生き物なんだよね、これが(そうじゃない男性の方々ごめんなさい)。
なんだろう、この男の脳のシステム。
いや、男というよりおじさん脳のシステム?
「おいしいね」
「うん、おいしいね」
まず、これ。
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なんでこんなことを、いまさら書いているのかというと。
別に女性や若手に媚びているわけでもないし、モテたいわけじゃない(たぶん)。
歳をかさねて、管理職っぽい仕事をするようになると、後輩や部下がオートで同意をしてくれる機会がふえる。
それは相手からしたら立場上同意してあげてるだけ、というケースもある。
それはそれで充分にありがたいこと。
相手にとってそれが気楽で円滑なコミュニケーションなら、なおさら不満はない。
ただそれならそれで、こちらとしてもその気持ちを汲んで「なにかお返ししたい」と思う。
そのとき、勘違いしてしまうのが「問題を解決してあげよう」「ほかの情報を教えてあげよう」「おもしろい話題を提供しよう」という考えかた。
そうではなくて、まず相手の感情をくみ取って、そのまま同意・共感して返してあげることのほうが、よっぽど気持ちの良いコミュニケーションだったりする。
もちろんそのうえで、おもしろい話題を提供できるなら非常にアリだと思う。
わたしなんかはそれさえも危ういのだから、せめて感情の共感でコミュニケーションをとっていきたい。
いい人に思われたいとか、そういうことなんじゃなくて(たぶん)。