世界でいちばん可愛かった柴犬の話をしよう。
自転車に乗ったおじいちゃんと、それに引かれて散歩される柴犬。
テッテッテッと「早歩き」くらいで自転車と並走する柴犬。
なんてカワイイんでしょう。
「noteで毎日投稿をつづけるコツ」みたいな記事を拝読すると、今日一日でなにかひとつくらいはイイコトがあったはず、それを書きましょう、みたいなお話を聞きますが、だとしたら今日の1位は間違いなくこの自転車と柴犬だった。
そういえば、もう5年も前の話だけど、世界でいちばんカワイイ柴犬を見つけた話をしよう。
その日は朝から雨だった。
仕事が休みだったわたしは、雨だというのに歩いて買い物に向かった。
家を出ると、横断歩道がある。
向こう側から、おばあちゃんと柴犬が歩いてきた。
おばあちゃんは傘をさしていた。
柴犬は、なにやら黄色い服を着せられていた。
ザアザアと雨が降る昼下がり。
おそらくおばあちゃんがカッパを着せたのだろう、と思った。
次第に近づいてくる。
青になった横断歩道ですれ違う。
どれどれ、カッパ着せられたのかい、と柴犬を見る。
しかしよく見るとそれはカッパではなく、ただのゴミ袋だった。
黄色いゴミ袋を、カッパ代わりにかぶせられていたのだ。
袋の一部分が切り抜かれ、そこから足とか、しっぽが出ていた。
どうだろう、こんなに「かわいそカワイイ」ということばが似合う生き物がいるだろうか。
シャッ、シャッ、シャッ、と「きぬ擦れ」ならぬ「袋擦れ」を鳴らす柴犬はわたしの横を通り過ぎる。
なにやらうれしそう。
ゴミ袋とも知らずに、自慢げの顔。
雨でも散歩に行けてうれしそうなカッパ犬は、モッチモッチとおしりを振りながら、やがて角を曲がっていった。
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