論分メモ:ジョブ・クラフティング(CRAFTING A JOB:REVISIONING EMPLOYEES AS ACTIVE CRAFTERS OF THEIR WORKより)
理論的背景
「ジョブクラフティング」とは、「個人が仕事におけるタスクや関係的境界を物理的あるいは、認知的に変えること」を指す。
理論的には「ジョブデザイン」(Hackman & Oldham, 1980)の概念が先行していたが「個人or仕事そのものの要因」を見ており、その関係性には着目していなかった。そのタイミングで、社会構成主義の前提に立ち、個人と仕事の関係性が着目されるようになった。
分類
「タスク次元ジョブクラフティング」、「人間関係次元ジョブクラフティング」、「認知次元ジョブクラフティング」に分類される。
①タスク次元ジョブクラフティング:職場で行う仕事の数、範囲、種類を変えるというもの。
②人間関係次元ジョブクラフティング:仕事における他者との相互作用の質または量のいずれか、あるいは両方を変えるというもの。
③認知次元ジョブクラフティング:様々な形態があるが、従業員が仕事の捉え方を変えることなどを指す。(例えば、介護業務を単に作業タスクと見るか、医療行為の全体の中の重要な一部と見るか)
ジョブクラフティングが発生しているということは、「仕事の意味づけ」の再定義につながり、自発的に業務へ向かう態度が期待される。ジョブクラフティングを行える人は、タスクや仕事を構成する人間関係にイノベーションを起こし、組織に利益をもたらす変化を起こすことができる。
では、ジョブクラフティングを起こすためには何が動機になるのか?
①他者との関係性を築くことによって、仕事の認識を変化したいと考えるようになる(Baumeister & Leary, 1995)
②自分/他人に対して肯定的な自己を作り出したいという願い(Ste ele, 1988; Baumeister, 1982; Erez & Earley, 1993)
③業務をコントロールして自分の管理下に置きたいという思い(Adler, 1930: 398)
これらの3つのドライバを意図的に引き起こすことによってジョブクラフティングを引き起こすことが重要となる。