論文メモ:ジョブ・クラフティング研究の展開に向けて: 概念の独自性の明確化と先行研究レビュー(高尾,2019)
定義
ジョブクラフティングとは、「個人が自らの仕事のタスク境界もしくは関係的境界においてなす物理的・認知的変化」(Wrzesniewski & Dutton, 2001)と定義される。以下JCと記述する。近年注目されている概念で、仕事をめぐる環境の変化が激しくなったことにより、重要性が増したと考えられる。
JCの発生によって何が起こるか?
主に2点記載されている。
従業員が自身の「仕事の意味」の変化(meaning of work:以下では MoW と略記する)
「ワーク・アイデンティティ」の変化(work identity:以下では WI と略記する)
JC研究の独自性
①ジョブデザインとの対比
ジョブデザインでは、個人が基本的には受動的な存在と捉えられており、マネージャーまたは組織が設計した客観的課業をどう解釈するかが取り上げられている。一方JCでは、全ての従業員が「ジョブクラフター」となりえる能動的な存在であると捉えられている。
②プロアクティブ行動(役割変革(role innovation)、役 割形成(role making)、個人的進取(personal initiative)、率先(taking charge)、組織 市民行動(organizational citizenship behavior)、タスク改訂(task revision)など)
従業員自身の変革であるという点は共通している。一方、JCはMoWやWIの変革であるのに対して、プロアクティブ行動は組織資する課題解決や組織内の他者への変革が目指されている。
JC研究の意義
①個人と、職務適合(person-job fit)の向上が期待される(Berg et al., 2013)
②仕事の有意味感に正の影響がある
③JCがプロアクティブ行動であるケースもある。前提として組織の従業員は全てジョブクラフターであると想定する必要があり、それらが招く可能性のあるリスクを考慮する必要性が見出された。
メモ
・JD-Rモデルとの結合を図る必要性がある
・すべての従業員に起こりうる「変化」になるので、活躍社員を定義する構成要素としては適切じゃないかも