ブラッドハーレーの馬車を読んで存在しない少女のために祈った話
たまに「救いのない話」「後味の悪い話」を無性に摂取したくなる。
そこで目に留まったのが、Twitterで物議を醸した「鬱マンガランキング」だが、折角なのでそこで1位に輝いた「ブラッドハーレーの馬車」を読んでみた。
「無限の住人」にハマっていたので、そんな沙村さんの描く鬱の世界とは……。
この世界になぜ万次さんはいないの……
次のページで万次さんが現れて欲しかった……。
凶さんでもいい……。百林姐さんでもいい……。槇絵さんは……強いけど頼りにならんな……。
こんな世界があってたまるか
ブラッドハーレーの馬車は、20世紀初頭のヨーロッパにある架空の国の架空のできごと。
でも、沙村センセの画力と、漫画力からくる説得力で、思わず「本当にこんなことがあったのかも……」なんて思っちゃうけど……。
あってたまるか。あってはならない。これは沙村先生の空想の世界なんだ。と、なんども言い聞かせながら読んでいた。
そう、言い聞かせながら。
そうしないとこの漫画の世界に飲み込まれそうになる。
こんな悲惨な目に遭った少女たちなんていない。
世界中の歴史で、孤児の少女たちに襲いかかる理不尽な悲劇はいくつもあったろう。でも、こんなことは現実にはないんだ。絶対に。
騙されて刑務所に連れてこられ、何もわからないまま尊厳と心を肉体を破壊された孤児の少女なんていない。
だけど、この世の中にはいままで何人の尊厳や心や肉体を破壊された少女がいただろうか、と考えると胸が詰まる。
せめて安らかに……と存在しないブラッドハーレーの馬車に乗せられた少女のために祈った。
とまぁ、感想はここまでで
私はいわゆる考察系のオタクなので、時系列を考えずにはいられない。
とりあえず年表を作ってみた。
確定していることは
ヘンズレーの暴動は1900年末(※第4話より)
マキンバー刑務所で祭りを始めたのは1902年
初年度の祭りは「ヘンズレー」「マクリンネン」「カージフ」の三か所なので、1・14計画の始まりは1901年
コーデリアの母は、コーデリアが見ていない歌劇団の舞台を見ている。つまりコーデリアが産まれる前から歌劇団はあり、孤児院から養女をとっていた。
マリラは、コーデリアが産まれる前から歌劇団で活躍していた。カザリンが養女になった頃はまだいたが、フィリパが舞台に立つ頃には引退して結婚している。
2話のプリシラが選ばれた翌年に、ステラがカージフの羊になる。その二年後にリラがヘンズレーの羊になる。(プリシラは歌劇団か羊かは不明)
レスリーが真相に近づいたのは戦争が始まる前。(ヨーロッパ中を巡業している)ブラッドハーレーの部屋の天井画はすでに多いので、1・14計画が始まってすぐの頃ではない。終わりにちかいのではないか。
ふむふむぅ……確定要素は少ないけれど、ここまで判明しているのなら考察しがいもありますな。