英国経由でエジプトに行って、歴史の圧に押し潰されそうになった話
国立科学博物館で開催されているミイラ展に行って来ました。ふだん日本中世史界隈に沈んでいる身ではありますが、外つ国の歴史にだって興味はあります!
特に、エジプトの発掘の番組とか、小さい頃からよく見てましたからね! 専門家や古代エジプトクラスタほどではないけれど、基本的なコトは押さえているつもりです。
というわけで、英国経由でエジプトに行くために、上野東京ラインに乗って上野公園にやってきました!
音声ガイドをゲットだぜ!
私は音声ガイドは借りる派なので、今回も当然の如く借りました。ガイドは人気声優の島崎信長さん! って、回す方のノッブじゃねーの!
FGOのマスターならおなじみの声優にワクワクテカテカしながら足を進めました。
第1のミイラ
入ったら、いきなりミイラがお出迎えです。
ミイラの中でも特に保存状態が良いものが展示されているとはいえ、TVで見るより鮮やかな色あいがハッキリ出ている棺は、なるほど、確かに身分が高い人だったのでしょう。
今回初めて知ったことはたくさんあるのですが、棺の内側にも絵が描かれているんですね。
第一のミイラ、紀元前750年頃の王都の役人、アメンイリイレトの棺はとてもカラフルでしたが、その内側には白地にハッキリクッキリの黒一色の太い線で大きな絵が書かれていました。なんだかマンガみたいな線だなァと思いつつ、よーく見るとおっぱいがついていたので女の人の絵のようです。
女神様なのか、それとも王女に仕えていたそうなので、王女様なのか……。もしも奥さんだったりしたら、ロマンチック~💓
この内側の絵については、キャプションには書かれていませんでしたが、図録には書かれていますかね?
なんか、とても丁寧に「冥福」を祈られている感じがしたんですよね、棺の絵から。残して来た人から愛されていたんでしょうね。
ミイラ職人
ミイラ職人の地位って、不明なんですってね。ただ、人体にとても精通していることは明らか。う~む。そう言われると、なんだか不思議な感じがしますね。
古代エジプト人にとって、ミイラになることはとても大事なことで、ミイラとなれるのは上流階級者のみ。と、考えると、やはり神官的な立場だったんでしょうか。
でもミイラ職人はミイラになってないような気もする。
人体に詳しいとなると医者的な立場かもとも思いますが、向き合うのは患者じゃなくて常に死体なんですよね。
一体ミイラ職人は、何を考えていたんでしょう。
第2のミイラ
ネスペルエンネブウさんは神官。すっごい虫歯があって、もしかしたら脳機能に障害も出てしまっていたのかもしれない、とのこと。
でもミイラや棺から伝わるのは、この人もとても丁寧に弔われている、ということ。
とくに、生前の姿を保っために、口まわりと喉に蝋が入っているんですが、なんというか、ちょっと笑顔に見えるんですよね。きっと笑顔がステキなイケメンだったんじゃないかな。いや、イケメンなのは私の願望ですが。
あと、この人のミイラはなぜか頭にお椀をかぶっていて、額にヘビの護符が置かれている。これは他には見られない特徴とのこと。
もしかしたら、脳機能障害に理由があったりしてって思ったんですよね。なんとなく、ですが。
第3のミイラ
ペンアメンネブネスウトタウイさん。長い!
この人の棺、内側はなにも描かれていなかった。遠くの地で亡くなって、首都でミイラ化したそう。そのタイムラグと関係あるのかな?
古代エジプトのお医者さん
やっぱりお医者さんって、どこの国のいつの時代もスゴイ人なんですね。
古代エジプトの名医、イムヘテプさん。紀元前2700年頃の大臣で、史上初のピラミッド設計師。そしてお医者さんでもあった。現代人から見てもスゴイなこの人。
死後2000年経つと、医神となったらしいけど、まあ当然っちゃ当然よねって同じく多神教の日本人である私は思います。
医神といえばギリシャ神話のアスクレピオス! と思ったらギリシャでは同一視されていたとのこと。
セクメト神像
頭がメスライオンの女神さま。地上で暴れ回ってたけど、ビールを飲んでおとなしくなった。そんな彼女は疫病の神。神官たちは彼女を宥めることで、流行病を鎮める役目があった。
そのセクメク神像なんですが、鼻の部分がめっちゃテカッてるんですよね。神官たちに宥められる時に、めっちゃナデナデされたんでしょうね。
第4のミイラ
第4のミイラは女性! 丸顔で優しそうなタケネメトさん。
棺の内側の絵もカラフル。明るい感じの人だったんだろうか。
第5のミイラ
次は小さな男の子のミイラ。小さい! カワイイ!
ミイラのマスクは古代ローマ風の絵が描かれているのは、古代ローマ支配下時代のミイラだから。子どものミイラが作られるようになったのも、古代ローマの影響らしい。
乳首・へそ・性器を表す護符は、もしかしたら、来世では大人になってねてことなのだろうか。
エジプトの子どもたちはどう考えられていたのか、実はよくわかっていない。大多数の子どもは丁寧に埋葬されてはいない。けれど家族の像にはかならず子どももいる。
う~ん。大人と一緒の存在とは考えられてはなさそうね。不思議。
第6のミイラ
紀元前100年頃の、高校生ぐらいの少年ミイラ。この頃のミイラにはミイラ札と呼ばれる名札がつけられていた。けれどこの少年のミイラ札はなくなっていて名前がわからない。
名前が残ることで永遠に魂も残るはずなのに、名前が失われてしまった。悲しい。
実寸大発掘現場レプリカ
これ、ものすごかった。小さい頃からエジプトの発掘番組を見てた人はここだけで10分以上は居られると思う。
スゴイ。早く発掘再開してほしい。
新しく発見されたミイラや、技術の進歩によって謎が明されたミイラ。そしてそこから新たな謎も出てくる。
古代の人がミイラとなって永遠の時を生きるって、きっとこういうことなのね。