黒柴的パンセ #30
黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #20
ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく
「あの人は、確実に借りを返してくれるのと思うので、話しをもっていく」これは、あるところで働いていた時に仲良くなった営業職の人から聞いた言葉である
黒柴は、1年ほどある携帯キャリアの法人営業部というところで働いていた
その法人営業部というのは、電機メーカーやSIerから出向してきた営業職に、携帯キャリアの身分で営業活動を行ってもらい、出向元会社のソリューションを売り込むことで、キャリアの回線契約や通信費の増加に貢献してもらうことを期待していた
したがって、売り込むソリューションは、あくまでも通信に関連したものが主力となっていた
エンジニアである黒柴は、当然だが営業活動自体を行うことはなく、営業職が社内の説明会や客先でのデモ用にキャリア内に設置済みのデモサーバのメンテナンスや、サーバのON/OFF、および回線の切り替えなどのサポート作業を行っていた
そのような業務を行う中で、仲良くなったAというあるメーカーの営業がいた
あるときAは、ある客先で営業活動を行う中で、その客先がAが売り込もうとしているソリューションとは別の課題を持っていることを把握した
その課題に対するソリューションをAの会社では提供していないが、X社とY社が同じようなソリューションを提供していることを知っていた
Aが、X社、Y社のソリューションを知っていたのは、このケースのように何か案件があった場合に、優先的に声をかけてもらうために、法人営業部内での説明会が頻繁に行われていたからである。
A曰く
「X社とY社のソリューションを比較した場合、X社のソリューションの方が、より顧客の課題解決にふさわしく、かつカスタマイズなども少ないと思う
だけど、自分はY社のCにこの話を優先的に持っていく
なぜなら、Cは貸した借りを確実に返してくれそうだからな」
とのことだった
では、なぜX社はダメなのだろうか?
A曰く
「X社の営業職であるBは、自社のソリューションの説明すらおぼつかない
また、そのソリューションが解決すべき顧客の課題が、どのようなものかを理解していない
そんな営業に、顧客が腹を割って、自社の課題とかを話してくれると思うかい?」
のこと
当時の黒柴は、「ソフトウェア企業の営業職」というものをきちんと考えていなかったので、「そんなものかな?」と思っていた
その背景には、黒柴の経歴で書いた、初めて就職したソフトハウスの営業が、現在の自社と同じようにシステム部と分断されていて、あまり接点がなかったことに起因していると思う
でも、営業職というものを簡単に想像して欲しい
例えば、コピー機のセールスに来た営業が、ほとんど何も説明せずにカタログだけ置いていくような態度だった場合、その営業から商品を買いたいと思うだろうか?
もちろん大半の人が、否定すると思う
結局のところ、黒柴は営業部門とシステム開発部門がお互いを理解しようとしていないため、きちんとした営業活動が行えていないと考えている
あらためてソフトハウスで働く諸兄らに問うが、諸兄らの会社では営業部門とシステム開発部門では、密に情報共有ができているだろうか?
上手くいっていると考えているソフトハウスでは、システム開発部門は営業部門にどのようなアプローチを行っているのだろうか?