黒柴的パンセ #27
黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #17
ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく
「やりたいことができる会社です」
これは自社の役員が、常日頃語っている言葉である
では、現実はどうなのかというと、社員がやりたいと思っていることは、全くできていない
例えば、黒柴は日ごろこのパンセで書いているように、ソフトウェアのテストを含むQA活動に興味があるので、この部分のスキルアップが行えるようなQAエンジニアとして働けることを希望している
パンセ#24で取り上げた中堅社員Hも、「単なる上級システムエンジニアとして作業することはやぶさかでないが、可能ならシステムアーキテクトとして作業したい」と希望を語っていた
しかし、黒柴も中堅社員Hも、希望しているような現場にアサインされたことはなかった
理由は明白だ
案件の情報を収集してくるはずの営業担当が、ソフトウェア開発の現状について、まったく理解が追いついていない
黒柴がQA関係の仕事に就きたいといっても、中堅社員Hがシステムアーキテクトをやりたいといっても、その内容をまったく理解していない
そのため、派遣先から情報を収集することも、派遣先に作業者の情報を提供することも、すべてが浅いのである
また、パンセ#26で取り上げように、日常的に情報収集を行っていない
作業者の契約終了時期が近づき、契約の更新が行わなさそうという状態になってから、情報収集に動き出すため、選択肢がいつも少ない
とりあえず、未オーダーを埋めれば良いという態度が見えてしまっている
結果として、影響が出るのは作業者の人事考課である
自社の人事考課は、「スキルがアップしていること」×「そのスキルで業務を遂行したこと」で評価される
例えば、「資格を取得しました(新たにスキルアップしました)」と言っても、そのスキルを使った業務を遂行していない場合は、実績を伴わないためスキルアップしているとは評価されない
だから、自身のスキルがアップしていることを証明できる業務にアサインされることは、人事考課の上でとても重要だ
そのため、同じ現場で体制やポジションが変わることなく働き続けていると、人事考課の上で加点される項目がないため、まったく評価が上がらない
これは、すなわち給与が上がらないということにつながっている
実際、ある客先で保守作業についている社員は10年以上ランクアップしていない
客先が毎年契約の更新を行ってくるため、「来年も更新してくれるんでしょ?」と考えて、営業はまったく動かない
また、契約更新について単価交渉も行うが、ほぼ相手の言いなりだ
保守作業なので、年間を通しての作業は、問い合わせの対応と小規模な改修にとどまるため、システムが枯れてくれば枯れてくるほど、作業することは無くなってくる
かといって、いざ何か発生した時に、速やかに対応できる有識者は確保しておきたいと考えるので、そのためのある意味「囲い込み」である
だから、契約単価をアップしますよといっても、雀の涙程度である
だったら、大幅な単価アップを交渉し、ダメだったら要員の入れ替えや最悪の場合契約終了による撤退ということも視野に入れる必要があると考える
しかし、上記したように営業担当は情報収集を行っていない
そのため、潤沢な契約先がないので、致し方なく相手の提示する条件のままに契約を更新をする
割を食うのは、現場の作業者となる
では、営業のどこが問題なのだろうか?
何をすれば、改善できるのだろうか?
長くなったので、次回深掘りしていきたい
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