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ご近所取引の信頼性
20年ぶりのクラス会。
「あ、不動産関係の仕事なんだ。」
「うん、不動産鑑定士って仕事、マイナーだから知らないでしょ。」
「知らない。」
「だよね。」
「実はさ、家建てようと思って土地探してるのよ。○○町あたりいいかなって思ってて、区画整理したとこで坪50万円の取引があったって、夫が言ってた。」
(夫かぁ、もう40だし・・。俺はずっと好きだったんだぜ、)
「○○町で坪50万て、安すぎじゃね。あそこは70万はするよ。」
「なんかね、地元のハウスメーカーが買ったらしい。」
「おーおー、そうか。それは多分、素地として規模の大きい土地を仕入れたんだと思うよ。」
「ちょっと何言ってるかわからないんですけど、」
「例えばね、洋服を仕立てることを考えてよ。生地を仕入れて、デザイン考えて、裁縫して、商品として販売するでしょ。」
「うんうん。」
「商品の代金は、生地代+デザイン代+裁縫代+利益、で決めるよね。」
「まぁ、普通そうだね。」
「夫さんが見つけた坪50万円の取引はハウスメーカーさんが土地を仕入れた時の取引じゃないかな、洋服で言うと生地代だけってこと。」
「その土地を造成して、分筆して、インフラ入れて商品に仕上げる。洋服の場合のデザインや裁縫みたいなことをするのよ。」
「だから最後の商品としての土地は坪70万くらいになっちゃうわけ。」
「そうなんだ、さすがそれっぽい事言うじゃん。」
「洋服だと、生地と洋服って言い方が違うからわかり易いんだけど、土地は仕入れるのも “土地” だし、出来上がった商品も “土地” って表現するから紛らわしいんだよね。」
「うん、何となくわかった気がした。なんだ、せっかく坪50万円で買えると思ったのに。」
「そっか、ちょっと気にして見ておくよ。」
「ありがと。」
「今夜、みんな帰ったらもう一杯どう。」
(言えねーよ。)