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佐川男子は実在した


迂闊にも、配送先を間違えた。


実は引っ越しをしていたんです。


パートナーとの同棲開始のため引っ越しをしてから数ヶ月経った先日のこと。

私はうきうきとネットショッピングを楽しんでいた。

ほしい商品をピックアップ・リサーチ・吟味・決断。これを6回ほど繰り返し、いよいよ購入ボタンをクリック。最高に楽しいひととき。


時間は23時だった。


購入手続きを終わらせて、少し高揚した気持ちのまま布団に入った、そんな時に気づいた。


あれ?住所登録変えてなくない?


布団から飛び起きて片付けたところのパソコンを再び開いて急いで配送先を確認。

完全に引っ越し前の住所宛になっていた。やらかした。


ひとまず問い合わせ


やっちまったなー。

と思っているとやってきたのが特大の睡魔。

そう、わたし、寝ちゃったの。


翌日、仕事もあったためひとまず問い合わせメールを送った。


誠に申し訳ないんですが配送先住所を間違えてしまいました。
お手数おかけしますが、以下の住所に変更お願いいたします。


大変申し訳ありません。
お客様のお荷物はすでに出荷準備が整い、発送手続きが進んでします。
この段階ではこちらで変更手続きができませんので、ご自身で配達会社にお問い合わせいただきますようお願いいたします。
転送料金が発生するまでに早めにすることをお勧めいたします。
準備いただく情報は以下の通りです…


仕事が早いですねええええ


素晴らしいですネットショップ様…だから翌日配送とかいうオプションが成り立つんですね…


転送料金ってなかなか高いんですね


そんなわけで早速、昼休みに電話をしてみた。

「住所変更をお願いしたいです」

「変更先の住所を教えてください」

「〜〜〜市〜〜〜…です。」

「承知しました。転送料が発生いたします。400円から…このお荷物のサイズですと、もしかしたら1000円になるかもしれませんね」

「えええ」


(※転送料の具体的な料金は忘れました。普通の送料くらいだったような。)


同じ県内でも営業所間で動かすだけで料金が発生してしまうらしい。

そりゃそうか、労力とガソリン代と、って思えば当たり前のことだなと納得。


しかしながら、その転送料、払いたくない!


「営業所に直接取りにいきます」

「承知いたしました」

そんなわけで、私の初めての佐川急便営業所訪問が決まったのあった。


外にはおっちゃん中には若者


さて、うだうだと前置きが長かったがここからが本題である。


ナビを駆使して無事に営業所に到着した。

営業所の外には配達員の人たちがちらほら。そんな中、私は意気揚々と所内にイン。

そこにいたのは男性数名と事務作業をしているような女性一名。

当たり前のように、その女性が対応してくれるのかと思った私は女性の居る窓口へ近づく。

(ヤマト運輸では常に女性に対応してもらっていたので。)


そこへ横から颯爽とやってきた青年が一人。


え、普通にイケメン。爽やか。フレッシュ。


その時の私の脳内に浮かんだのは佐川男子という言葉だった。

何年か前に話題になった、佐川急便に勤めているイケメン配達員で構成された写真集のタイトルだ。

実家にいた頃も、一人暮らしをしていた時も、同棲を始めてからも、配達に来てくれていたのは所謂オッチャンに分類される男性だった。

だから佐川男子も都会にしか存在しないものだと思っていた。

それがどうした。いるじゃん。若いの。いるじゃん。モテそうなの。

そういえば、外にいた配達員さんたちは皆オッチャンだったような気がする。

若い配達員は中にいたのか…。


佐川男子って、存在したんだなあ…


そんなことを思いつつ、私の荷物を探してもらった。

よくみたら残りの男性もイケメンっぽい。若者っぽい。女性は一切顔をあげなかったのでいわからない。もしかしたら私好みの可愛いお顔だったのかもしれない。


イケメン耐性ZERO

あからさまなイケメンを前に、あからさまに狼狽えてしまった。

頭の中では「うおお 本物のイケメン!二重のぱっちりお目目綺麗!」とか思っていたわけだが、実際に口から出てきた言葉は「あ、う、うけ、荷物の受け取りに…」とまあ、思いっきりどもっていた。


飛沫防止用のビニールシートがあるため、少し腰をかがめて私の小声をしっかり聞こうとしてくれていた。

好感度もすごいな。イケメン。


自ずと顔の距離も近づくので、耐性のない私は「ありがとう!そして同じ世界にいて申し訳ない!」と心のなかで強く思い、荷物を小脇に抱えて、そそくさと帰宅したのだった。


終わりに


落ちはないですよ。

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