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ノンフィクション

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記事一覧

門田隆将「日中友好侵略史」全ての政治家が読むべき本だが。

門田隆将「日中友好侵略史」(2022年9月発売)を手に取った。読むのは2度目。 今回は、公明党はホントに親中的な政党なんだなと改めて強く思った。 田中角栄の日中訪問を支えたのは竹入元委員長だった。そのことを自伝に書いた竹入氏をひどく嫉妬して怒った池田大作がその自伝を廃刊にしたのだと。 現在の山口公明党の売国的な動きは長い長い歴史的な経緯が積み上げられたゆえなのだ。 この中国の手先のような公明党と、今や相当にリベラル化した自民党の、連立の枠組みは最悪だよなぁ。 それから橋本元

門田隆将「尖閣1945」尖閣が日本である示す感動の物語。

門田隆将「尖閣1945」をやっと読んだ。 “尖閣戦時遭難事件”を詳細に取材して書いた奇跡の物語。登場する市井の人々の生きざまに胸が震え込みあげるものがあった。 門田氏がどうしてもこれを書こうと思ったのは、この事件以上に、”尖閣が日本であることを示す出来事はない“からだ。 古賀辰四郎氏が「真水」を開拓・確保し、人が住めるようにした事実を、わたしたちはこの素晴らしいノンフィクション作品ではっきりと知った。 わたしたちは尖閣で頑張った先人たちの生きざまを心に刻み、中国が狙う尖閣を含

平井宏治「トヨタが中国に接収される日」佐々木類「静かなる日本侵略」背筋が寒くなる。

恐ろしい本を続けて読んだ。 平井宏治「トヨタが中国に接収される日 (WAC BUNKO B 367)」は2022年5月発売。 中国に進出する企業は、軍民融合政策により、合弁会社を経由して企業の命である技術を窃取・軍事転用される。核心技術を盗まれ、中国であげた利益を日本や他国に移せない、というよく聞いていたハナシが具体的に書かれている。 佐々木類「静かなる日本侵略 -中国・韓国・北朝鮮の日本支配はここまで進んでいる」は2018年8月発売。 外国人勢力による“支配”が着々と進

平井宏治氏「経済安全保障のジレンマ」日本は内部から侵略されつつあるのかも。

平井宏治氏の「経済安全保障のジレンマ」(2022年)は「経済安全保障リスク」(2021年)の続編。 川重が新幹線技術を盗まれた件、新日鐵がポスコに電磁波技術を盗まれた件をはじめ、東芝、ソフトバンクグループ、上海電力などの問題を具体的に取材・解説している。 ホントに恐ろしい。日本は大丈夫か。 マネトラ、ハニトラにかかって国益を損なう活動をしている政治家、産業界、経済人がかなりいる、ということは、尖閣列島を侵略される危険があるだけでなく、いや既に内部から侵略されてつつあるのかもし

大下英治「孤高奮戦変革の人 平沢勝栄」興味深い内容あった。

大下英治の平沢勝栄の評伝を読んだ。発刊は2023年11月と新しく、興味深い内容があった。 そのひとつ。巷噂されている、岸田総理が近く電撃訪朝して、拉致被害者の田中実さんと金田龍光さんを帰国させ、見返りに巨額支援を与えるのではないかということについて、平沢はこれを支持している。この2人の帰国で北朝鮮は拉致問題を幕引きにしようとしているかもしれないが、それじゃ拒否すればいいという理由だ。そんな懸念より、2人でも拉致被害者を奪還することを優先すべきだと。 西岡力や山口敬之らはこうい

「OUT」「発火点」桐野夏生の想像力ってホントに凄い。

瀬尾まいこの幸せな小説2冊の次は、桐野夏生「OUT」。言わずと知れた桐野の代表作だが「グロテスク」を読んだ後は積読したままだった。ちょっと続けて読むのが辛い感じがして。 だが夏生の対談集を見つけてその中に大好きな西川美和との対談があって、それがすごく興味深い内容で、積んどいた「OUT」開いたらもう止められなかった。評判どおりスゴイ。 西川との対談で、見たこともない聞いたこともないようなことをどうやって書くのかと訊かれて、桐野は想像力で書くのだと答えて、”講釈師、見てきたような

大下英治「最後の無頼派作家 梶山季之」今日はノンフィクションが必要だった。

桐野夏生「玉蘭」のあと小説を読んでいなかったが、何日か前に恩田陸「まひるの月を追いかけて」を読みはじめたものの、百頁くらいでやめてしまった。 次の日に中脇初枝「きみはいい子」の後半をひらいたがこれも続かなかった。 積読本が何十冊もあるのに手が伸びなかった。 映画は毎日のように観ていたからふと思った。小説は映画ほど楽しめないのかな。おれは小説を必要としてないのかな。 ところが昨日図書館で借りてきた大下英治「最後の無頼派作家 梶山季之」を今朝読みはじめたら、これが止まらない。幼

江藤淳の「保守とはなにか」読んでいて

年末年始に江藤淳の「保守とはなにか」読んでいて、1995年阪神大震災で明らかになったことがあるというくだりに様々な思いが込み上げた。 先ずは当然村山内閣のお粗末な危機管理能力だがより本質的なこととして、江藤は皇室と自衛隊の問題を論じた。 阪神大震災のあと犠牲者の遺体がまだ埋まっている中で皇太子は神戸の被災者を見舞うことなく中東訪問に出発した。そうさせた宮内庁と外務省はいったい皇室を何だと考えたのか。 関東大震災のとき病気療養中の大正天皇にかわって、当時摂政官であった昭和天

デール・マハリッジ「コロナ禍のアメリカを行く」を読む

デール・マハリッジ「コロナ禍のアメリカを行く」(原書房、2021年、上京恵-訳)を読んだ。 長年貧困、差別などの社会問題について書き、ピュリッツアー賞も受賞した作家だが、2020年半ば西から東へと旅して、コロナ禍で仕事を、住む場所を失った人々の現実を見つめたルポタージュ。 GDP世界1のアメリカは、実は貧困がはびこり、セーフティネットがなく、生き延びることが厳しい国でもある。読むほどにそれが伝わってきて辛くなる。 作家は終わりの方でこう書いている。 何をなすべきかは、とっくの

オバマは「約束の地」の続編を書くべきだ

オリンピックでぜんぜん読書する気ならなかったけど、今日は朝からオバマの回顧録を読んだ。 オバマを評価しなかったのは、中国がやり放題にやるようになったのが、オバマの戦略的忍耐のせいだからというのが一番で。次は対北朝鮮政策でも何もやらなかったこと。そして3番目に日本軽視、特に1期目の、が頭にくるから。 2期目後半から、レガシーづくりで、イランとの怪しい核合意、キューバ外交、広島訪問、等々を進めたことも動機不純で、あさましいって気がした。 この回顧録でオバマが誇ったのは、リーマ