タビる
「人って漢字は支え合ってできてるんだよね〜」
砂糖を溶かしきったような甘ったるい声でキミは言う。
キミは支え合っているんじゃなくて、上に乗ってるんだけどな。
なんて思いながら、表情筋がストライキを起こした笑顔で空を見上げた。
疲れた時、日常から逃げたくなる。
ボクにとっての現実から逃げると言うことは、旅をすることだ。
今時の言葉で言うならきっと「タビる」
移動手段はもっぱら電車。
飛行機に憧れていた時期もあったけど、結局乗り心地がいい電車に落ち着いた。
のんびり駅弁を食べながら、車窓を眺める時間は大好きだ。
旅先ではあらかじめ下調べを念密にして、行くタイプ。
昼間は有名所を巡り、夜は地元の人がお勧めする店を探す。
地域の先輩たちとお酒を交えながら談笑することが、ボクの「タビる」醍醐味だ。
そんな時ボクは常々思うことがある。
人は支え合う前には交わる。
支え合うためには、距離を詰めなければなと…
甘ったるさと苦味の融合を。
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