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ダウ90000

ABCお笑いグランプリ2024決勝3位、キングオブコント2023、2024準決勝進出、女芸人No.1決定戦 THE W2023準決勝進出、8人組ユニット ダウ90000。

演劇もコントも行うし、なんならその境界線を曖昧に設定しながらグラデーション的に行ったり来たりするような追求を、男女含めた集団の面白みとして提示しながら形を成しいます。

脚本や演技や組織コンセプトとしての技巧もさることながら、

「ツッコミとフリ」という側面に目を当ててみても興味深いと感じています。


演劇やコントの外側であるバラエティ番組に出た時のトークや立ち回りを見てゆくと、
蓮見さんを中心としたフォーメーションで基本は組まれていて、なおかつツッコミ的に回しながら他メンバーに各パート供給をしているが分かります。

チームのリーダーでありネタの脚本を担当しているのが蓮見さんなので、その原理であらゆる場面に適応させている状態で、なおかつMCとの絡みや観客との距離感調整などの窓口的な役割も蓮見さんが担当している瞬間をよく目にします。

こうして意識して見ると、
蓮見さんにはある種のピン芸人性のようなものがあって、その補給的な側面として他7人が機能しているという視点も持つことが出来て、いわば蓮見さんという「ツッコミ」とVS構造で「(それを誘発させる)フリ」7人という単純な図式にする事が可能です。というかそこが基準で別の要素を足したり役を入れ替えたりするのは、コンビでもトリオでも成立する方程式だと思います。

東京03飯塚さんのトリオ内での動きから、薄めの高圧性による支配感を抜いて、雪崩れ気味な絡みを先行させる事で獲得するイニシアチブを注入した感触が蓮見さんにはあります。


逆を言えば、
普段の関係性の延長線であろう蓮見さんという回しツッコミを中心とした他7人のフリ役というバランスのトーク形態を、コントや演劇に変換しているという理解も出来ます。

なので、個人的にはダウ90000って漫才性も高い演技集団だと感じてて、しかもいわゆる漫才というような伝統的な上方漫才の話術コードよりも、どちらかと言えば関東寄りのワード先行を重視したフリとコナシ形態のキャラ漫才的なスタイルに近いと感じています。
南海キャンディーズ感、シンクロニシティ感とかの方があって、フリがツッコミのワード大喜利に集約されてゆく逆算から成り立っている面白さが高いのではないでしょうか。

もっと厳密に言えば、
漫才と言うよりも発話をベースにした音楽の集団パフォーマンスとも捉えられ、蓮見さん本人もテンポ感やトーンを重視していると言及しているように、そこを基点に様々な領域に忍び込んでるような印象があります。
もしかしたらオリエンタルラジオのRADIOFISHのような、中心の人に対して周囲から固めた音楽かリズムネタか分からないパフォーマンスを集団の力によって他ジャンルに侵食させる、そんな確信犯的手法を演劇かコントか分からないスタイルでやっているとも言えるのかもしれません。


個々のメンバーもそれぞれ役割分担があって、

吉原さんが蓮見さんと同じような気質で、メインのツッコミじゃない形での回し的なポジションを取っている場合があったり、

飯原さんや中島さんのナチュラルな素っぽい喋り方やリアクションで全体の雰囲気にこの年代くらいの集団の空気感のリアリティが補強されてたり、

上原さんや道上さんのカメレオン的な適合力やトリッキーな掻き回し感のある立ち振る舞いで味変としてアクセントを加えていたり、

園田さんや忽那さんの朴訥っぽい口調や風貌を活かした、オチとしての当てどころを有する天然キャラいじられキャラ、ゴールキーパー的立ち位置、

そういううっすらとした気質による適正を用いて単純に順番からなる球種の違いを見せたり、男性4人女性4人で対立させたり、エポック的に関係性を作って崩したり、などなど
数の機能的パターンを見せてゆきながら
それが演劇やコントなら物語の構成や展開や批評的なメタファーやテクニカルな側面を入れ込んでゆく構築の仕方なのではないかなと思っています。

演劇グループとしては、小林賢太郎さんの舞台プロジェクトKKPっぽさとかももちろんありますが、劇団かもめんたるでのう大さんのようなニュアンスもあるような気がしています。やはり言語的な規定を重視しているというか、それを「ツッコミ」という視点設計で外側から内面やコミュニケーション批評を行なっているような印象があって、それを蓮見さんだけでなく個々の面々がそれぞれの言葉でツッコミあってる瞬間が面白いです。

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