カニササレアヤコ
雅楽芸人、R-1ぐらんぷり2018ファイナリスト、カニササレアヤコさんのその雅な雰囲気と平安貴族のなんとなくの空気感を醸し出せているのは笙の織り成すやわらかな音色によるのももちろんですがそれに合わせた高貴な感じのする喋りが全体的なエモーショナルさを演出しています。
この人は言語感覚そのものを雰囲気に乗せて引っ張るのが得意でそれをアナウンサーやバスガイドがやるような公の場の丁寧な話し言葉における独特の遅さや言葉尻の調整を微妙にしながら場の空気を擽っています。
それは柳原可奈子や清水ミチコほどの人物を想定したモノマネではないのですが抽象概念として確実に共有出来るラインを突いてくるのが絶妙です。
体感としてですがある年代から枠の中で決められた喋りの尺的なものの把握が物凄く精度として上がっている気がします。それはおそらくYouTubeなどの動画サイト、SNSにより気軽に享受、または発信出来ることによりテレビなどのスピード感とは違うコミュニケーション体型がそれを使いこなせる人たちの中で前提となっているからだと感じます。
この動画の素に近い状態での収まり方もそうですがその上でこのサイズ感でいられるところが性質として強く、ラファエルさんの時でも言及しましたが彼はそれを早める事で納めていたのを、彼女やわっきゃいさん、ARuFaさんなどの世代の人は緩める事で納める事を自然に出来ているという違いがあります。
カニササレアヤコさんはその雰囲気自体のものまねを提示できるので与えられた時間の中で空気をかなり意図的に変える事が出来ています(もちろんネタにおいては楽器による力が大きいわけですが)。
舞台での演出としてそれを限界まで引っ張ってどこまで通用するかという実験のような事をしていると思うのですが、このネタの中盤の「笙を使わず笑いを取れると豪語するも失敗し焦ってすぐ笙を取りに走る」というくだりで感じ取れる、そういったニュアンス自体の表現が上手いのだと思います。
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