呂布カルマ
フリースタイルダンジョンや、マッドマックスTVなどで活躍し、
音楽活動だけに留まらず、俳優、タレント、批評、グラビアディガーなどでも知られる、
愛知県名古屋市を代表するラッパー 呂布カルマさん。
MCバトルではフローやライムと言った要素よりもワードセンスやパンチラインを重視したスタイルで闘っていて、そこを評価されている声が高いと思います。
それも含めて、淡々としたテンションと冷静な語り口で繰り出される話法は、普段のトークからも摂取できる独特な聴覚的色気を持った魅力だと感じています。
呂布さんの声質は重たすぎないけど、渋さと軽さが両方混ざったような聴き心地をしてて、
そこに論理的思考と、強面で長身でやや威圧感のあるファッションが組み合わさって、自然と耳を傾けてしまう効果があると思います。
それをバラエティ番組の現場にも持ち込み、特にディベート的な企画で活かされてて、それによって、いわゆる論破的なスキルが高いと多くの視聴者に認識させているのではないでしょうか。
エンタメの中で行われる議論において呂布さんが特徴的だと感じるのは、上記の喋りや見た目の要素による適正と、割とスタイルとしては攻めより守りが強いような印象があって、こぼれ球を最小限に抑えるゴールキーパー型の話法をしていると思っています。
対人的なVS構造の強い場面の呂布さんをメディアで見る機会がまだまだ多いと思うので、そういうどこか臨戦的なモードの彼からは舌触りとして覚えにくいのかもしれませんが、
1人でロケをしていたり、インタビュー形式で話してる時は、むしろイニシアチブを取っていこうという積極性よりも、来た質問や起きた現象に対してナチュラルに反応してゆく事、焦ったり動じたりしてる様子を見せないように余裕のある振る舞いに出力させる事を意識してるような感触があります。
もちろん、素で肝っ玉があって落ち着いた性格だからこそ成立するキャラクターだと思いますが、それを自覚しててあらゆる状況でなるべくそのままで出せるように設定してるプログラミングである気がします。
すごく単純に言えば、それがカッコいい。
そのカッコよさを美学として貫く俯瞰的な視座によって、呂布さんの議論の強さは保証されているのではないでしょうか。
つまり、観衆は "なんかカッコいい" から本能的に支持してて、それはラッパーという本芸はもちろんの事、MCバトル、ディベート、コメンテーター、SNSでの発言、グラドルへの評論、それら全てに対して堂々とした態度で接する事によって有無を言わさせない空気の構築が張り巡らされてて、聞き手はその内側に居る時点である程度の人は受け入れ体制が整ってしまっている。結果 言語的な理解による納得感があとから付いてくるような感じ。
西村博之さんのような相手の主張のアラを突く説明的な台詞の迫力よりも、呂布さんは「最初に設定した場所から動かない」事によって強者の雰囲気を獲得していっている側面があります。
これはツッコミ芸人で言えば、
ウエストランド井口さん型ではなく、
ラランドニシダさん型だと思います。