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マツモトクラブ

R-1グランプリで幾度となく決勝に駒を進めているファイナリスト常連で俳優としても活躍するマツモトクラブさんの喋りは、その雰囲気作りも含めて「間合い」そのものをフリ役的に連結させる事で興味を引き続ける独特のフォームをしていると思います。


マツモトさんもあまり素で喋りを行っている場面が少ないのですが、長めの尺でトークをしていい現場だとネタの時等の印象に比べて実は結構言葉数が多くペースも早い方である事が確認できます。それでも対象との距離感はある程度慎重にはかっているタイプだとは思うのですが、イニシアチブを預けているように見せかけて自分のコントロール範囲は少しずつ広げていくような意識が感じられます。

それを言語によるコミュニケーションより演技(しかも黙っている時の)によって獲得してゆくようなイメージです。



例えばそれをもっとフリとしての言葉数を増やし対象や観客との自己を許容させるゾーンを交渉的に運んでゆく行為そのものを強めると、ロンブーの田村淳さんやYouTuberの超めておさん等のような仕上がりになると思います。

マツモトさんはそこまでは行かなくとも実は行いとしてはそういった主軸へのアシストを連打する事で自己スポットを作り出し存在として形状をそこまで変容させなくとも周りが勝手に成立させるというゾーンに持ってゆかせてる点では一緒です。

なので現場によってスピード調整を相手にどれぐらい合わせるか、その上で自分のパートをどれくらいで持ち回るかに対してはけっこう繊細だと思われます。求められた時の送りバントの早さや、逆にやんわりと相手へのフリを張り付くような声質でペタペタと施して空気を醸してゆきます。


これがコンビ芸だったらアンガールズ山根さんや、トリオだと東京03の豊本さん等のポジションになってゆくのではないでしょうか。

マツモトさんはピン芸人なのでそれを一人で形作ってゆくため、ネタで使っている音声の登場人物の声はむしろ早口です。マツモトさんの間合いが引き立つような落差を緩急によって示すためにそうなる傾向が強いのだと感じます。

なので「間合い」を駆使してますが、それは沈黙のカウントが細かく無の状態なのに情報量としては密度が高いというような感覚になり、それによって対象や観客の反応をコントロールしているという気がします。本来は、おしゃべりな人なんじゃないかな。



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