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岩下尚史
花柳界、伝統芸能に詳しい作家の岩下尚史さんの艶かしい喋り方は専門家としてそのジャンルの持つ丁寧さと気品を伝えようとするプライドと本業タレントでないが故に逆説的に生まれる需要とそのバラエティ対応の狭間で本人の研究対象である芸者と化してしまってる状態がある種こういう「芸人じゃないのに面白い人」のサンプル的な立ち位置にいます。
岩下さんがやってるのは簡単に捉えるとキャラ芸なわけですがその使いこなし方が絶妙で、明石家さんまとかアンタッチャブル山崎とか完璧にプロとしてギア入れてる状態を5段階のMAX5、尾木ママとか林修などのややイジラレに行ったり番組の演出に素人の範囲でちょっと乗ってるを1、とした場合岩下さんは2.5~3.5ぐらいの感じで番組によって使い分け主導権をちょっとだけ握ったりしてます。これはやはり座敷芸に詳しいから出来る所業でオネェタレントなどの完全に屋号を背負ってるタイプと一緒にされがちですが、マツコさんやミッツさんのトークがそこにカウンターが隔たれているのが見えるのに対して岩下さんは畳の部屋で隣に座ってお酌をしているような笑いの取り方をしています。
この「オネェなのかと匂わす口調で笑いを取る技術」(文字にすると意味不明な能力ですね)は藤井隆やアルカリ三世の坂本ちゃん、トンガリの声優の三ツ矢雄二など実際どうかは別ですが割りと古くからある手法です。そのめちゃくちゃハイブリットな形体が岩下さんだと思います。
特徴として段階があって最初からこのキャラでは無く徐々にその要素を出していって最終的に急な張り芸をしだしたらこの方向が確実に決まった合図です。これも岩下さんはやたらめったら発動するわけではなく普通の入りで語尾だけ尻上げるという難しいスキルを持っています。(なので厳密に言うと演技力で持ってシンボリック的に提示する「キャラ芸」ではなく、どちらかと言うとイントネーションやアクセントでリズム感的に提示する「言い方芸」です。)
このポジションや年代でこれをこの精度で出来る人はかなり少なく岩下さんくらいの技術で持って始めてショーとして成立するといった感じなのでそのクオリティも含めて絶妙なラインをついていると思います。