これぞドリームズ・カム・トゥルー! 映画監督になる方法
昨日、ついにTOHOシネマズ新宿で「イケボーイズ」が公開された。
わいもプレミア公開に招待されていたので行ってきた。
なぜわいがプレミア公開に招待されたのか。
なぜなら監督が親友だからだ。
親友というか、この映画の監督、エリック・マキーバーは僕が経営していた株式会社UEIの社員だった。
エリックとの出会いは横浜のSIGGRAPH ASIAで、やたら背の高い白人がうちの女子社員に絡んでいた。
遠くから様子を見ていると、「この人、うちで働きたいそうです」と言われて、「君はどこ出身なんだ?」と聞くと、「オクラホマです」と言う。
「なぜうちで働きたいんだ?」
と聞くと、エリックは
「面白そうだから。それに日本で映画が撮りたい。ビザが欲しい」
と言った。
日本で生粋のアメリカ人を雇うのはとても難しい。
「よし、いいぞ。うちで働け」
そうしてエリックは就労ビザと定職を手にした。
当時は海外に向けたiPhoneアプリの翻訳やら何かと英語を使う仕事があるにはあった。
ただ、エリックの目的はあくまでも日本に定住して日本で映画を撮ること。
「ちょっと来週から有給をいただきたく・・・」
日本人より丁寧な日本語を使うエリックが映画のために会社を休むことはよくあった。俺は気にしなかった。
映画監督になるにはどうすればいいのか?
それはただ、映画を撮るしかない。撮り続けるしかないのだ。
ある時エリックが、「ニューヨーク大学の映画学科に合格したので会社を辞めたい」と言ってきた。
まあそんなこともあるだろうと思って快く送り出した。
何年かしてまたしばらく日本にいたいと言うのでまた雇った。
と言うか、エリックほど日本語が上手い生粋のアメリカ人というのを見たことがない。
日本語と英語、日本文化とアメリカ文化、その双方に精通しているからこそ、彼にしかできない翻訳があり、彼にしかできない表現があった。
そして彼がついにスポンサーを得て自主制作ではない、本物の映画を撮るということになって、僕もエキストラとして声がかかった。
気づかなかったが、僕が出た場面には平成ガメラシリーズの監督、金子修介さんがいた。
そもそもエリックは「ゴジラxメカゴジラ」が最高傑作だと思って日本に来た特撮オタクだ。
彼のミューズは釈由美子で、本作「イケボーイズ」も釈由美子が出ている。相変わらず綺麗なのでそれだけで画面が締まる。
すげえな。たいしたやつだぜ。エリック・マキーバーよ。
ついに本物の映画監督になったのだ。
そういうわけで、エリックが「どうしても映画館で見てほしい」というので映画が出来上がったのは2021年なのだが日本で公開されるまでじっと待っていた。
コロナがあったり色々あったりして大変だったのだが、2023年にAppleTV+に「イケボーイズ」が公開されてからアメリカのオタクたちの間で話題になり、去年はあちこちのイベントから声がかかるようになって釈由美子を連れて全米ツアーをしたりしていた。
アメリカの特撮オタクにとって釈由美子はミューズであり、釈由美子をアメリカに連れて行っただけでエリックは特撮オタクのカリスマになった。まあ確かに。やりたい放題と言える。
この映画は、オクラホマに住む特撮オタクの少年が、色々あって日本から来た留学生、シミズ・ミキとの出会いを通じて成長していく物語である。
まさにロケ地は自分の地元、自分が通っていた学校、そして自分が寝ていた布団、というか自分の部屋、といったプライベートムービー的な側面もあるが、その実スペクタクルであり、普通に面白い映画である。
今日はTOHOシネマズ新宿で舞台挨拶があるが、チケットは既に売り切れ。
新宿以外でも池袋、横浜、柏、すすきの、名古屋、梅田、福岡、熊本など全国で上映されている。詳しくは公式サイトを参照のこと
エリック、やったな!おめでとう