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青島だ。ああ青島だ。

「今日はラーメンを食べに行くか」

日曜の昼、親父がそういうと、決まって家族で行列に並ぶ。

「今日はどっちにするの?」

「今日はアオトリ・・・シマだっけな?そっちに並ぼうか」

後に長岡生姜醤油らーめんと呼ばれることになる、生姜をたっぷり使った醤油ラーメンの店は二種類ある。

あおき屋と青島食堂だ。

あおき屋の方がよく行っていたが、青島食堂と方向性は似ていて、ただし生姜がよりマイルドでツウはあおき屋が好きだという説もある。

どちらにも共通するのは、とにかく行列に並ばないと食べられないということだ。まあ時間帯によってはそうでない時もあるが、昼時は平日も絶望的に並ぶ。

青島食堂は長岡市内にいくつもあるが、どこも並ぶ。そして東京にも市外で一店舗だけ本物の長岡生姜醤油ラーメンが食べられる青島食堂が秋葉原にある。

並ぶ

ちなみに東京の青島食堂も、開店から閉店まで絶望的に並ぶ。
どんなときでも一時間くらい並ぶ。それは長岡の青島食堂と変わらない。

考えようによっては、長岡に帰らなくても同じ時間並ぶだけで青島食堂が食べられるんだからお得とも考えられなくもない。

並びながら本を読む。本を読むか書く時間に充てれば、行列に並ぶことは必ずしも無駄にならない。むしろ大人になるとじっと何かに集中する時間をとることは返って難しくなったりもするので並ぶくらいがちょうどいい。

「大盛りにしなくて足りるのか?チャーシュー麺にするか?」

子供の頃、親父がいつもそうやって心配そうに聞いてきたのを思い出す。
親父、俺ももう歳だ。毎回チャーシュー麺大盛りが食えるほどの元気はない。

ラーメン並

ああ、旨いなあ、このスープ。
やみつきになる。
この薄いけど肉々しいチャーシューも、いかにも古き良きラーメンという感じがする。

上品に振り切った最近の創作ラーメンもいいけど、やっぱこういうのが染みるなあ。

年を取った俺には一時間並ぶというブレーキがあるくらいがちょうどいい。毎日のように行きたくなるところを月一くらいまで我慢できるようになる。

それにつけても、立ったまま操作できるキーボードが早く発明されないものかなあ。そしたらいくらでも待てるのに