こんなに面白い話がタダで聞けていいのか!?東大教授大集合番組が爆誕!
昨日は戦友の瀧口友里奈が企画し、日経クイックがスポンサードした新番組「アカデミアクロス 東大教授たちの「超」未来予測」のオープニングセレモニーに参加した。
まあ正直、俺は大学を卒業したことは一度もないので、完全にアウェイである。
俺だけ一人、キッタネージャージを着て行ったので物凄く浮いてる。
普段は俺と同じような格好をしている暦本純一先生までもがパリッとした背広なんか着てる。
アウェイもアウェイ。しかも乾杯の挨拶が長いので腹が減った俺は昔懐かし工学部2号館の松本楼でモボ的なムーヴをしてこようかと思って抜け出した。
ちなみにこの日はカップ麺しか食べてない。
しかし松本楼はすでに営業を終了していた。頼みの綱のサブウェイも終了。仕方なく、安田講堂裏のローソンでウィダーインゼリーでも買うかと思ったのだが売ってない。詰んだ。
そろそろ乾杯の挨拶も終わってるだろうと思って会場に戻ると、そこには絶望的な光景が。
欠食児童か!!!
あっという間に食べ物がなくなっていて、俺は残った残飯みたいな飯をとりあえず腹に入れて一息つく。
まあここのケータリング美味いんだよな。
俺は全部足すと8年くらいこの学校に何らかの形で所属していたのだが、東大は飯が美味い。学食がたくさんあるし、スタバもあるしタリーズもあるが、やはり医学部のフレンチと工学部の松本楼はダントツに美味い。
しかし人が多い。去年も多かったが今年はさらに多い。これが日経パワーか。
誰とも会話せず、ひたすらo1-previewに量子生物学の質問をぶつける。
コミュ障の俺は瀧口に一発挨拶してすぐ帰りたいが、今宵のホスト役であり今回の陰謀の首謀者である瀧口の前には長い長い行列ができていて容易に近づくことすらできない。
すると、ボソッと声がした。
「ここでしたか」
見ると、川崎祐一だった。俺と同じような格好をしているので思わず顔が綻んだ。
「コミュ障なんで講演みたら帰ります」
そうなのだ。飯食って酒飲むのが目的ではないのだ。講演を聴きに来たのだ。
流石に連日酒を飲みすぎて休肝日としていたので俺は烏龍茶をがぶ飲みし、酒に酔って楽しい、ということも特になかった。
しかし、ここに集まったのは東大教授ばかり。間違いなく日本の最高頭脳であり、世界有数の頭脳が結集している。
そもそも、さまざまな分野を横断して東大の教授を10人も集めるなんていう芸当はおそらく瀧口友里奈しかできない。
俺と川崎は毎月瀧口とラジオのレギュラー番組を持ってるからわかるが、瀧口は抜群に頭がいい。ただ東大を出ているだけでなくて人の話を聞いたり引き出したりフォローしたりするのが抜群に上手いのである。この能力だけは俺は逆立ちしても及ばない。
俺は瀧口が仕事で番組に出れない時は、俺も番組を休みたいと言ったことが何度もある。それくらい、瀧口とそれ以外では会話する能力に差がある。瀧口がいないと俺はラジオで言ってはいけないことを口にして抹殺されてしまう可能性が高い。瀧口というスーパーゴールキーパーがいるからこそ、俺はフルスロットルで面白い話ができる。瀧口以外の時は、残念ながら俺はちょっとアクセルを緩める。そうしないと事故るからだ。
ポルシェのエンジンにはブレンボのブレーキが必要だ。
高性能なエンジンを積んだ車には、必ず高性能なブレーキがついている。きちんと止まれるブレーキがないと怖くてアクセルが踏めないからだ。
先生方も、「聞いてもわかんないだろうな」という相手には、適当な話しかしない。しかし、瀧口が相手なら胸襟を開き、普通ならちょっと引かれてしまうようなぶっ飛んだ話さえも気持ちよくできる。偉大な頭脳からわかりやすく面白い話を引き出す。これは世界で瀧口友里奈だけが持つ才能なのだ。
瀧口が世界の最先端を突っ走る東大教授たちに片っ端からインタビューし、ぶっ飛んだ科学の世界を誰にでもわかりやすく解説してくれる。
そんな夢のような番組が今日から始まるらしい。
その前夜祭ということで、決して配信されないライブで「超」未来予測を聞くことができた。
これがもうめちゃくちゃ面白い。
「道路を走る自動車は下品」「電気を送るのは下品」という話から始まり、「論文を書くのは下品」と、ここでは「下品」が流行語大賞状態に。
この場合の「下品」というのは、環境負荷が高いからもっとマシな他の方法を考えましょうということ。
例えば、道路を走る車は、そもそも道路がないと走れない。普段、あまり気にしてないと思うが実は自動車というのは、道路とセットでないと走ることができない。
アメリカのデスバレーや、サハラ砂漠に行くとわかるが、舗装されてない道路は実はタイヤが空回りして走れなくなってしまう。そこを走るためには一旦タイヤの空気を抜かなければならないが、当然、そうすると燃費はガタ落ちになる。
舗装路に戻ったら、タイヤに再び空気を入れなければならない。つまり、「道路を走る車」は道路を作らなければならないので環境負荷が高い=下品というわけだ。
船便がなぜ安いかといえば、道路を作らなくていいからだ。船だけ作ればいい。
同じように、飛行機も環境負荷が高いので、スペースプレーンを作れば大気圏を横切らずに済むので環境負荷が低くなる。
スペースプレーンの時代になると、世界中どこでも二時間で行けるようになるのだという。
人類は病気を克服し、老化を克服する日も近いと言われている。
DeepMindがAlphaFold3をオープンソース化したが、科学の世界はAIで明らかに超速進化している。
最近の研究では、遺伝子の突然変異に量子トンネル効果が関わっていることがわかっている。もしかすると、近い未来は量子的に予測可能になるかもしれない。
量子生物学においては、生物の中で量子効果が最大限発揮されるのは、常温である。これが生物の強さ、効率の良さの秘密でもある。量子現象が極低温でしか観測できなかったのは、常温では量子現象が発生しすぎて観測結果をコントロールできなかったからかもしれない。スローモーションで見ないと瞬間的に起きた現象を解析できないのと同じだ。
タンパク質の謎がAIによって飛躍的に解けるようになったので、若返りのDNAも不死化するDNAも作ることができるかもしれない。そうなると、人はいつまで生きられるのか、また生きたいのか、新しい哲学が必要になる。
さまざまな分野の専門家が集まり、「未来」について語り合う。
こんな夢みたいなライブに呼んでくれてありがとう。アウェイとか言ってごめん。
「ノーベル賞はオワコン」という発言もあった。
ノーベル賞の代わりに「アカデミアクロス賞」を作ったらいい、なんてことを誰かが言った。
大いに盛り上がったあとは、僕の中ではすっかり「アウェイ」という感じではなくなっていた。
暦本先生が野村先生を紹介してくれたので、最近気になっている「光合成による量子探索を時間軸方向に展張し、因果律を一旦無視すると、ニューラルネットの拡散モデルと同じ計算式になる」という説をぶつけてみた。「大体先行研究があるから、専門分野がちょっと違うと全くわからない。量子生物学の話なら、分子生物学会で扱ってるはずだからそっちの学会の論文を調べてみたらどうだろう」というアドバイスをいただいた。
成層圏まではバルーンで行けるので、そもそもロケットで成層圏に荷物を運ぶのは下品だという話になり、バルーンにドローンをつけたら、良きところで自立飛行に切り替えて目的地に帰って来れるのではないかという話で盛り上がった。暦本先生は実際にGoProをつけたバルーンを飛ばしたことがあるらしい。成層圏に達するとバルーンは破裂し、パラシュートが開いてGoProが落ちてくる。が、それだと予定通りのところに着水してくれなかったので、ドローンにするのはいいアイデアかもしれない、という話になった。
「ノーベル賞は当時は賞金が世界一高いから世界一の賞だ、ということになった」
という話を野村先生がしていた。
「今はブレイクスルー賞が賞金総額300万ドル(5億円)だから世界一大きな賞になっている。アカデミアクロス賞も創設したらどうだろう」
しかし僕は考えた。
「そもそも、金額の問題で世界一だとかどうとかは関係ない。デミス・ハサビスのDeepMindはGoogleから年間600億円の予算をつけられて、それでやっと取ったのがたった1億円でしかないノーベル賞だ。しかも三人だから一人頭たった3300万円。考えようによっては600億投資して3300万円しか得られなかったとすれば、それは投資としては全く馬鹿げている。金額はバカにでもわかる。でも、バカにわかってもらうために金額を釣り上げるのは本末転倒ではないか。賞の価値を測るのに、金額の話から始めるのは、バカな金持ちの発想だ」
「じゃあどうする?」
「バカにでもわかる価値は、金額だけではない。あ、そうだ。東大賞にしよう。アカデミアクロスに参加しているのは東大教授だけだから、東大教授だけで審査委員会を作って、誰かに受賞させれば、それは実質的に東大賞と言える。東大がすごいのはバカにでもわかる。しかも無料で使える便利なブランドだ」
「そりゃうまくいかないよ」
「なんで?」
「だって東大教授は自分が賞を取りたいから」
「審査の方法を工夫すればいい」
「なるほど、さすがビジネスをやってきた人だ。発想がもらう側じゃなくてあげる側だ」
そんな話をした。
これはいいアイデアだと思ったので、やっと行列がなくなった瀧口友里奈のところに行って、「アカデミアクロス賞じゃなくて東大賞という名前を使えるように総長と交渉したらいい。そしたらスポンサーもたくさん付くだろう」と言った。瀧口は目を白黒させていたが、用は済んだのでそのまま帰ってきた。
最後にせきぐちあいみさんと偶然出会った。もう何年ぶりだろう。
不思議なことに、毎年、この会に来るとAIアートグランプリの受賞者と会う。去年は安野さん(都知事選で大健闘した)、今年はKATHMIさん。メディアアーティスト同士、せきぐちさんと仲がいいらしい。
アカデミアクロス、今日から公開されるらしい。
こんな話がたくさん聞けるなんて楽しみでしかない。いいのか無料で