ど素人のピュアオーディオ入門(36) まさか!そんなことが! 4K UltraBluerayの方が配信より音が良い!?
ここんとこずっと忙しくて、以前は週に五回くらい会ってた映画好きおじさんとも五年に一回くらい会うくらいの頻度に落ち込んでいたのだが、久しぶりに祝日にバーベキューでもやるかと思って誘ったら、「いそがしいの!」とつれない。
まあ自粛自粛で仕事がないなんて言ってた頃を考えると仕事があるというのはそれだけで喜ばしい。
まあしかしガチで忙しそうだから映画好きおじさんに連絡するのはしばらく控えようか
なんてことを丸一日考えながら肉を焼いて、肉を焼いているうちに寝てしまった。
ちなみに、たぶん誰も邪道すぎて試してないと思うのだが、BBQ用のスパイス(RUBという)で牛肉の厚切りステーキをじっくりスモークするとすごく美味しかった。
ついでにハンバーグや手羽元もスモークしてみる。やっぱりスモークって最高だよな。
あけて週末。とあるイベントで登壇していると、「今日はなにしてんの?」と映画好きおじさんから連絡が来たので「もうすぐ仕事終わります」と言うと「じゃあ森伊蔵と餃子もってく」という。
しかし実際に映画好きおじさんがもってきたのは「トップガン・マーヴェリック」の4K Ultra Bluerayだった。
もう4KUHDなんかわざわざ円盤で見ないだろう。だってAppleTVで4KUHDを配信してるんだぜ。
「いいから、まずAppleTVで見てみ」
というので、AppleTVで再生する。
うむ。相変わらずマランツPM7000NとJBL4309のコンビは最高だ。
これ以上いい音を出すにはまあまあ色々仕込まなきゃならない。
そう思っていると
「じゃあ円盤で見てみるか」
というので、「何をおかしなことを言ってるんだ」と思いながらほとんど起動していなかったPS5を起動する。ちなみにPS5の「ソニック・フロンティア」は久ぶりに買った新作だ。
さて、じゃあ再生するか。
それがさー、そんなに大きく変わるわけないじゃんよ。どう考えても原理的に。こちとら科学者よ。
おしゃれなブルーレイメニューを華麗にスルーして再生。
しかし衝撃は、0秒後からやってきた!!
「は?」
思わず映画好きおじさんを振り返る。
「でしょ?全然違うよね?」
そうなのだ。
冒頭のロゴが出る段階で全然違う。
うまく言えないが、解像感が全く別物になるのだ。
「ねえ、なんでなの?コレ」
映画おじさんが不思議そうに聞いてくる。
「う・・・」
言葉に詰まる。
「ねえ、どうなのよ」
「俺にだって・・・」
頭の中にMMRのあのシーンがフラッシュバックする。
「俺にだって・・・わからないことくらい・・・ある!!」
しかしこれは一体どういうことなのだろうか。
4KUHDというのは、そもそも通常のフルHDが1920x1080なのに対し、映画館フォーマットの4096x2160により近い、3840x2160解像度で、なおかつHDR、つまりハイダイナミックレンジのものを指す。
しかし音はどうか?
ジャケットを確認すると、英語版の音はドルビーアトモス。日本語版の音は5.1chで収録されている。
ドルビーアトモスは最先端のオブジェクトオーディオ技術だ。
そこまで見てはたと気づいた。
いや、これはまだあくまで仮説ではある。しかしもしもそうだとしたらすごく合点がいく。
ドルビーアトモスのようなオブジェクトオーディオは、従来の5.1chや7.1chのようにあらかじめチャンネルごとに分離された状態で保存されているわけではない。
オブジェクトという単位で、その音が空間のどの座標から鳴っているかという情報ともとにトラックが別個に収録されている。
すると、そもそも発生前のデータの段階で、全てのトラックが独立して保存されているわけだ。
これを出力する際には、再生側でドルビーアトモスをレンダリングする必要がある。オブジェクトオーディオ時代において高性能なアンプとは、3D計算能力が高いアンプを意味する。
すると、おなじしょにー製品でありながら、ブラビアに内蔵されているプロセッサと、PS5に内蔵されているプロセッサの性能差は如何ともし難い。そりゃそうだ。
さらにいえば、そもそも楽曲のミキシングそのものが5.1chや7.1.2chで行われることはまずあり得ず、普通は2chで行われる。
ということは、オブジェクトオーディオとして2chにレンダリングされた楽曲をブラビア内蔵のAppleTV+では聴くことになる。2chまで落ちるとオブジェクトオーディオはあまり意味がなくなるので単にドルビーアトモスの情報は無視されている可能性もある。
これがHDMI端子経由でAVアンプに接続されれば、オブジェクトのレンダリングはAVアンプにオフロードされるが、あいにくうちではAVアンプは壊れてしまって使ってない。
しかしPS5から出力されているのはHDMI信号のため、PS5がオブジェクトオーディオをレンダリングしているわけでもなさそうだ。
ただ、デコーダーの質の違いというのは、明らかにテレビ内蔵プロセッサとPS5のような高性能マシンとの間で差があってもおかしくない。扱う対象が計算であることは明々白々なのだから。
とはいえ本当のところはわからない。
映画好きおじさんの事務所は11.2chのAVアンプである。それでも違いがわかるというのだから、円盤であるメリットというのがそれなりにあると考えた方がいいのかもしれない。全くもって謎である。