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AIと旅行
まあ僕は旅行というものを滅多にしない。「さすらい」は旅行というよりも仕事だ。
広告業界ではとりあえず海外に行って企画のヒントを探ることをシナハン(シナリオ・ハンティング)と呼ぶ。僕にとって無目的な旅行はなく、全ての移動過程は自分にとっての試練であり、修行でもある。
ごくたまに、何かの縁で招待を受けて、海外のリゾート地なんかで、すごく広くていい部屋に一人で泊まった時なんかは、窓の外に広がるエメラルドグリーンの海を眺めながら「俺は一体なにをやってるんだ」と思ったりするが、なあんかね。ただ楽しみのために時間とお金を消費するというのが苦手なのだ。無趣味だしね。
だから僕が「旅行」というタイトルを使うのはよくよくのことであると思っていただきたい。ではなぜ「出張」とか「さすらい」ではなく「旅行」というタイトルをつけたのか?
それは、普通の人は「旅行」するだろうし、「旅行におけるAIの活用」については興味があるのではないかと思うからだ。すごく普通。
最初から「旅行に役立つAIの使い方」という説明をしてもいいのだが、それだと税務署に「あなた旅行って書いてましたよね」といういらぬツッコミを受けかねない。国税庁様。私はちゃんと台湾で仕事をしております。有料媒体の記事を書き、有料配信を行い、口に糊する日々でございます。きちんと毎年確定申告をさせていただいております。
さて、言い訳はこの辺にして、仕事柄、僕はあちこち行くことが多い。なかでも、非英語圏に行くことが多いのでみなさまの役に少しは立つのではないか。そんなことを考えて今回の出張で見つけたAIの活用法について考えてみたい。
まず、非英語圏、特に中華圏では、メニューに何が書いてあるかわからないことが多い。
僕はルーローハンに目がなくて、特に台湾の三元號には必ず行くというくらい好きなのだ。
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ところが、この手の安くて美味しい店は、メニューがソリッドなのである。
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そして古い世代のAIであるGoogleレンズにこれを見せてみると・・・
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お話にならないのである。
サメっぽいものと卵っぽいものがあるのはわかるが、かろうじてよみとりに成功しているのはフカヒレスープくらいなのだ。
そこで、われらがChatGPTの出番となる。
ChatGPTにこのメニューを説明させてみる。
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なんかうまくいかない。中国語ムズカシイね。
特に気になるのはこの字だ。
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中国人は四つ足のものは椅子とテーブル以外はなんでも食べるという話があるが、まさか糞ではあるまい。しかし、この謎を解明しないと怖くて頼めない。
そこでこの文字周辺だけ取り出してChatGPTに聞いてみた。
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どうやらこれはスープを意味する文字らしい。なあんだ。
縦書きでも、他の余計な情報を潰すと精度が上がることがわかったので、わからないメニューをいろいろ聞いてみる。
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するとこういう回答が来た。
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なんと、蛋は虫ではなく卵という意味だった。いや、実はそれくらい知っていたのだが自信がなかった。
ということは、安心してフカヒレスープとルーローハンを食べることができるのである。
このように、Googleレンズではまだ意味不明なものをChatGPT(GPT-4o)やClaude-3 Opusなどの最近のマルチモーダルモデルでは克服できる。
ちなみに現地のモスバーガーで美味そうな限定メニューを発見したのだが・・・
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片方が角煮であることはわかるが、もう片方がなんなのかわかんなくて怖い。
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Googleレンズにかざしても、埒が開かない。
そこでChatGPTに聞いてみる
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まあ結局わからないのは変わらないのだが、実際注文してみたら、美味かった。
さて、現地のレストランで少しトラブルがあった。
9人で予約したテーブルの会計を6人と3人で分けたい、という話を店員さんにするのだが、英語が全く通じない。
Google翻訳を駆使して「あっちのグループとこっちのグループで会計を分けて」と頼むと、「あーOKOK」みたいなことを言って、結局わかれてなかった。
けっこう、このやりとりだけですったもんだ30分くらい使ったのですごく疲れたし、AIの限界を感じた。この時は「こんな簡単なことすぐ伝わるだろう」と思っていたのでGPT-4oを使うというアイデアは思いつかなかった。
とにかく、わかんない言葉があったら、「知りたい単語だけ切り抜いて」GPT-4oなどのマルチモーダルモデルに聞くのが正解だと思う。
ちなみに今回、初めて台湾でバスに乗ってみた。
台湾のバスに乗るのは結構怖い。英語がほぼないから。
いや、正確にいうと、英語もあるんだけどあんまり出てこない。
路線図には英語の振り仮名がない。
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そこでこれも切り出してChatGPTに聞いてみる
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するとこう返してくれる。
![](https://assets.st-note.com/img/1717636815423-615tSnWGdE.png?width=1200)
おお!これだけでもかなりの手がかりになる。正確には全く同じではないかもしれないけどないより遥かにマシだ。
実際、今回はけっこうバスの乗り換えとかあったんだけどうまく乗りこなすことができた。
AIが身近にあると非英語圏への旅行が劇的に簡単になる。
それどころか、ちょっとその国の言葉とかに詳しくなれてしまう。
つまり、最良の家庭教師と24時間一緒に旅行するようなものなので、自分の外国語スキルも自動的にアップする。
これは予想外に楽しかったので、AIと一緒に一人旅をするのをぜひお勧めしたい。
ポイントは知りたい文字以外の余計な情報を塗りつぶしたりして切り抜いてからAIに見せること。そうすることでAIとの意思疎通も向上する。
いやー、AI面白いなあ