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究極の"のり弁"
ひょんなことから郡山駅で降りることがあった。
郡山といえば、言わずと知れた名駅弁「海苔のり弁」の本拠地である。
福豆屋による「海苔のり弁」は、東京駅でも定番の人気商品で、のり弁界に燦然と輝く金字塔として知られている。
朝早い時間だったので、他にめぼしいお店もやってない。
というよりも駅弁ファンとして福豆屋さんで弁当が買えるならここで買うしかない!
と思って物色を開始した。
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目を引いたのは明らかな高級路線と思われる「海苔のり弁887」
ベストセラーの海苔のり弁にASAKAMAI887というコメを組み合わせた新商品。
なるほどこういう手もありますわな、と思いつつ、おかかが入ってないという。
しかし、のり弁といえばおかか。
おかかのないのり弁など、港区のない東京23区のようなもの。
それで購買意欲に急激にブレーキがかかってしまった。
とりあえずそばも美味しいらしいので、蕎麦を食べる。
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うん。出汁が独特で美味しい蕎麦だ。
かき揚げもうまい。
しかし弁当だ。弁当を買わずして福豆屋に来たとは言えない。
しかしいつもの海苔のり弁を買ってしまうと、わざわざ来た意味がなくなる。僕は海苔のり弁は、東京駅で買えるJREによるOEM版も郡山駅で買えるオリジナルも両方食べたことがある。せっかくだから冒険したい。
散々迷った挙句、ちょっとワイルド味の追加されたこれにした。
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なんせ元祖の海苔のり弁より100円高い。
駅弁界において定価100円の値段差は自動車におけるバネ下重量に相当する。
つまり100円値上げするということは、原価率はより高くなっているということだ。いわば福豆屋さん本気の逸品。食わずに帰れるか。
というわけで蕎麦を平らげた後は、海苔のり牛めしを新幹線の中で開ける。
なんせ、郡山から東京までわずか2時間しかない。その間に食べなきゃなんないから今日は夕飯抜きだ。
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見慣れた海苔のり弁の上にドドーンと敷かれた牛肉。
まさに牛めし。
副菜の完成度の高さはもちろんさすがだが、なるほどこの牛肉、かなり美味い。
相性を考えてか、海苔とご飯の間にはおかかの代わりに牛そぼろが・・・・あれ?
俺はおかかが食べたかったんじゃないのか?
そんな心配もご無用。
ちゃんとしたの方におかかの層がある。やはりのり弁にはおかかが欠かせないのだ。
美味い。美味いが、やはりこうなるとオリジナルの元祖・海苔のり弁が恋しくなってくる。
東京駅で追いのり弁を追加購入!・・・は流石にしなかったが、のり弁の世界は奥が深い。
今東京はインバウンドでどこもかしこも観光客で溢れているが、彼らが駅弁の素晴らしさに気づくのはいつだろうか。