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「変なの入れますか?」新宿のやきとん

大都会、新宿

巷では、「ニンニク入れますか?」がなんかの符牒になっているというややこしいラーメン屋が増殖しているらしく、「ニンニク入れますか?」と聞かれてうっかり「はい」と答えると店員さんのほうがズッコけることが多い。

ニンニク入れるかどうか聞かれてるんだから、はいかいいえと答えていけないわけがない。

しかし我らが新宿にはそんな軟弱な符牒はない。
新宿西口駅の前、はヨドバシカメラ。
新宿西口駅の横、にあるのは思い出横丁。

まるで昭和中期から時間が静止したような佇まいの横丁があるのである。
そして思い出横丁といえば、「変なの入れますか?」で知られる、やきとんの名店「ささもと」

ささもとといえば葡萄割り。

葡萄割は、まず焼酎をなみなみと注いで・・・

水ではなく焼酎です

それを葡萄酒(赤ワイン)で割る

焼酎の赤ワイン割り = 葡萄割り

まさに悪魔の飲み物。
都合上、三杯までしか頼むことができない。
あっという間にべろべろになってしまうからだ。

このお店にはメニューらしいメニューがなく、注文はおまかせか、常連が知ってるメニューを名指しするしかないのだが、僕が好きなのは、まず煮込み、赤身(牛ハラミ)、カシラ(豚ハラミ)といった定番商品もだが、えのきやスナップえんどう、トマト、ミョウガといった野菜系メニューが絶品なのである。

野菜といえどしっかりベーコンが巻き付いていてうまい。

久しぶりに顔を出すと、さすがに大将は引退してしまったらしい。
なんとも寂しい気持ちになるが、仕方がない。時が止まったように見える思い出横丁も、時はゆっくりと流れているのである。

シメにいつものキャベツ煮込みとスープが食べたくて注文。
デザート感覚でキャベツを食べ終わると、いつも大将が「変なの入れていいですか?」と聞いてきたものだった。

今は若い人たちが店を回していて、おそるおそる「変なの入れてもらっていいですか?」と聞くと、「あ、変なスープですね。わかりました」と、へんなのを入れてくれた。

これが変なのが入ったスープ

「変なの」が入ると非常に味わいが変化して、食後のシメとしてこれほど美味しいものはない。全くもって無駄がない。

「変なの」が何なのか、ここで語るのは野暮というもの。
ぜひ一度、思い出横丁「ささもと」に足を運んでみていただいて、キャベツスープと「変なスープ」の味わいの違いを味わっていただきたい。